18年度

第2回アパレル問題研究会-ディスカッション

事例1 真鍮ファスナーによる変色
事例2 エリ・カフスワイヤーの収縮
事例3 革パーツの色泣き 
事例4 スリット糸光沢消失
事例5 ビーズの変色
その他参考事例 PVCの硬化/アクリルファーの熱変形

事例1真鍮ファスナーによる変色

事例データ
商品 紳士パンツ
苦情内容 1シーズン保管ご着用しようとしたら、ファスナー部分が赤く変色していた。
組成表示 表地綿100%
取扱い絵表示
長時間の水への浸漬はお避け下さい。
濃色は少し色落ちすることがありますので、多のものとの洗濯はお避け下さい。
苦情品の外観 主に前立て部分のファスナーに接するところが赤く変色している。
検討内容
  • 1.何故この現象が起こるのか?
  • パンツの素材が綿なので、染料は反応または直接染料である可能性が高い事、ファスナーが真鍮(黄銅)である事から、保管中の湿気などの影響で銅イオンが染料と反応して「錯化合物」を生成したものと推測される(赤い色はその化合物の色)。
  • 2.判断基準と試験方法
  • 現物または共布に10円玉など銅を含む金属をのせ、水、人工汗液で湿度を与え、軽く圧力を掛けて一定時間様子を見る。また、熱を掛けたり、pHを変化させたりしてみる。

    ・再現試験テクニック
    生地を湿らせて10円玉とともにラップでくるみ、50~60℃で加熱すると半日で再現できる。(富田氏)
  • 3.商品を企画・生産・販売する場合の注意事項
  • ・真鍮などの特に銅を含む金属パーツは、反応染料や直接染料などを使用しているものにはなるべく使用しない。
  • ・樹脂製のファスナーを使用する。
  • ・デザイン上どうしても使用する場合は、保管時の注意など(湿気の少ないところへ保管してもらう)を説明し、この様な現象は避けがたいことを説明して理解を得る。
  • 4.クリーニング時の注意
  • ・水洗した場合、濡れた状態で放置せず速やかに乾かすようつとめる。
  • ・納品後は、ポリ袋から出して、湿気のこもらないところへ保管してもらうよう伝える。
  • 5.修正方法
  • ・シュウ酸水溶液を塗布してスチーミングすると2価の銅が1価の銅に変わり修正できる。ただし、酸化すると復色する。(2年程度は大丈夫。富田氏)

               ↑参考写真 同様事例

                 ↑参考写真 同様事例

掲載の検討結果は、あくまで課題試料の観察及び事故状況の推定に基づいて検討した結果の一つであり、試験や分析から導いたものではありませんので事実と異なることがあります。ご了承ください。