17年度

第2回アパレル問題研究会-ディスカッション

事例1 ストレッチ製品(PU)の収縮
事例2 ストレッチ製品(PU)の伸び
事例3 酵素処理製品の破損
事例4 レーヨンの洗濯収縮
事例5 フロック加工の毛羽脱落

事例3酵素処理製品の破損

事例データ
商品 メンズパンツ
苦情内容 家庭洗濯で脇縫い目に沿って生地が破れた
組成表示 表地:綿100%
取扱い絵表示
苦情品の外観 破れとともに縫い目周辺の生地の強度が著しく低下している。
(顔料染め、バイオウォッシュ加工品)
検討内容
  • 1.何故この現象が起こるのか?
  • ・生地の柔らかさ、手触りを出すための減量加工=酵素処理(セルラーゼ)による生地の脆化。(酵素処理が過剰であった?、事後、失活処理が不十分であった?)
  • ・家庭洗濯で家庭用洗剤に含まれるセルラーゼの影響を受けた可能性はないか?
  • ・生地・縫い糸の強度不足
  • *セルラーゼは、セルロースを分解する酵素
    資料(http://www.iir.hit-u.ac.jp/file/CASE04-13Kao.pdf)には、家庭用洗剤に含まれるアルカリセルラーゼ(pHの高い状態でも失活しない)の働きについて、次のように記載されている(要約)。
    「木綿繊維を構成する結晶性のセルロースには作用せず、非結晶の分子状のセルロース高分子のみに作用し、木綿繊維を傷つけないタイプ。繊維分子の乱れた部分(非晶質)に作用して汚れを繊維から離脱しやすくするもので、従来の洗剤やプロテアーゼなどの酵素では入り込めないような繊維内部の汚れにも作用し、従来の洗剤では残ってしまっていた洗濯後の黄ばみが生じず、真っ白な仕上がりが実現される」
  • 2.判断基準と試験方法
  • ・引っ張り強度試験
  • ・引き裂き強度試験
  • 3.商品を企画・生産・販売する場合の注意事項
  • ・生産前の生地物性試験
  • ・ウォッシュ加工後の物性試験
  • ・過度の減量加工をしないようにする
  • *特にボトムは、トップスに比べ強度が要求される。
  • ・販売時、家庭洗濯で長時間浸け置きしないよう注意を喚起する。

掲載の検討結果は、あくまで課題試料の観察及び事故状況の推定に基づいて検討した結果の一つであり、試験や分析から導いたものではありませんので事実と異なることがあります。ご了承ください。