第122回苦情処理検討会はさる11月10日都自動車整備健保会館で開催された。(参加会員数98名) 会員から寄せられたクレームその@は業務用タオル等の一部が納品後黄変し、その後改善策を試みたにもかかわらず効果が出なかったものがバスタオルで18%弱、フェイスタオル、バスマットでは3〜4%ほどあった。その原因の究明と改善策の検討依頼であった。洗濯槽での逆汚染の可能性、反応染料での変色、NOX(晒し過程での)による変色などが考えられ、また、原材料製造で行われる精錬漂白が黄変につながる可能性、商品特性として使用状況が、全く同じ状況ではなく個々に異なりそれらが変異の可能性を持っている場合がありその点も考慮する必要があることが説明された。
そのAはダウンジャケットの異臭についての事例。相談者は第三者機関に対し官能試験を行いその結果が提示された。特にダウンの異臭問題については日ごろ経験するところで、かなり個人差があることである。本事例では幸いにして匂いの強さはそれほど強いものではなく検査結果を報告したことで顧客も了承してくれたとのこと、これからの時期発生の可能性が多くなる事例であった。
事例研究では「破れについて」。(財)ボーケンの西山先生からその種類とそれが持つ特徴についてを電子顕微鏡写真などを交え詳細な説明がなされ大いに参考となった。
ミニ講座に関しては(社)日本皮革産業連合会今井哲夫部長の「皮革について」の話であった。これからのシーズン、革を利用した商品も多くなり当然クレームも増加しがちだ。
原料皮から原皮になるまでの過程、その後具体的製品までの工程を経て商品として完成していくわけでその間、革の適性を十分理解し適切に商品つくりに反映されていくことがとても重要なことであると思った。また、最近認定された日本エコレザー基準認定制度についてのお話もあり、環境認定のすその広がりを改めて認識した次第であった。
(記 田中耕治)