去る、7月16日東京都自動車整備健保会館4階大会議室において第120回苦情処理検討会が開催された。参加者数は77名。検討内容は絹100%ネクタイについてのスナッグ事故と男性用スポーツシャツの襟部の一部グレイ色からピンク色への変色事例の二点であった。シャツの変色の例で(相談者クリーニング店)は@汗付着による変色A含金属染料の化学変化による変色が理由として考えられ、今回の事例では染料に含まれる金属が何らかの作用により可逆作用を起こし変色が発生したものであろうとの見解が披露された。
次いで、参加者からピュアカシミヤの表示上の疑問点についての相談があつた。カシミヤについては昨年来、混率を含め表示上特に注意を要すべきものであり混率の検査に振り向ける点数は何枚くらいが理想なのかという質問であった。検査枚数の確認よりも、海外生産の取引先に対し、日ごろの取引先に対してのトータル管理の中でこの事例をとらえるべきであろうという話で納得してもらった。
(財)紡績検査協会西山浩一先生のテーマを絞っての事例研究はピリングとスナッグについてであった。それぞれの発生のメカニズムから試験方法などの解説が行われた。
当日のミニ講座についてはNPO法人カビ相談センター代表の高鳥浩介先生による―繊維製品とカビについて―という表題での講義。カビの原因となる真菌はわれわれの周りに浮遊しており湿ったしかも養分のある基質があればたちどころに繁殖するもので、大昔から共存してきた歴史がある。カビの完全制御に期待せず、カビとうまく付き合っていくことが重要であるとのお話にはとても共感が持てた次第である。 <田中耕治記>