21年度

第1回アパレル問題研究会-ディスカッション

事例1 商業ドライ後の輪じみ(きわつき
事例2 商業ドライ後の身頃のぶくつき
事例3 水洗い後の前立ての寸法変化
事例4 商業ドライ後の輪じみ
事例5 家庭で水洗い後の衿のぶくつき

事例4 商業ドライ後の輪じみ

事例データ
商品 ジャケットとスカート
苦情内容 商業ドライを行ったらジャケットだけに輪じみが発生した
組成表示 表地:
 綿 55%
 ポリエステル 40%
 ポリウレタン5%
裏地:
 キュプラ100%
取扱い絵表示
苦情品の外観 部分的に黒っぽい輪じみが見られる
検討内容
  • 1.何故この現象が起こるのか?
  • 当該製品は、タテ糸に綿(白)・ヨコ糸にポリエステル/ポリウレタン(黒)の先染で織られた製品です。ポリエステル/ポリウレタンを分散染料で染色しているため、通常RCソーピングを行うが、ソーピング不足のためポリウレタンより分散染料がにじみ出たと思われる。
  • 2.製品の特性、または技術限界として避けることができない現象と言えるのか?
  • 同素材使用のスカートには問題が発生していないことから、技術限界とは言い難い。
  • 3.商品を企画・生産・販売する際の注意事項と対策。
  • ・ソーピング処理の徹底。
  • ・製品の商業ドライ実施の結果により適正に表示する。

検証試験

グループディスカッションでは上記のような結論を推測したが、事故品が表地・接着芯地・裏地の3層から構成されており、他の原因がないかどうか疑問が残ったため、検証試験を行った。

検証試験1.色なき試験
試験方法 大丸法準用
試験結果 表地 汚染1-2級
接着芯地汚染 4級
裏地 汚染4-5級

写真A

検証試験2.溶剤滴下試験
試験方法 試験方法:生地を分解し、ポリエステルフィラメント糸とポリウレタン糸をそれぞれ取り出し、濾紙上に置く。
各資料の上から、石油系溶剤0.3mlを滴下し5時間放置する。
その後、濾紙の汚染の程度を観察する。
試験結果 下写真のように、ポリエステルフィラメント糸(写真B)には、ほとんど汚染は見られないが、ポリウレタン糸(写真C)は汚染が見られる。

写真B (ポリエステルフィラメント糸)        写真C (ポリウレタン糸)

掲載の検討結果は、あくまで課題試料の観察及び事故状況の推定に基づいて検討した結果の一つであり、試験や分析から導いたものではありませんので事実と異なることがあります。ご了承ください。