18年度

第1回アパレル問題研究会-ディスカッション

事例1 縫い目スリップ
事例2 エリ接着樹脂の部分剥離
事例3 裏地のほつれ糸の飛び出し
事例4 シームパッカリング
事例5 接着芯への汚染

事例2エリ接着樹脂の部分剥離

事例データ
商品 ブラウス
苦情内容 水洗いしたら上衿、衿腰部分などに凹凸が発生した。
組成表示 綿55%/ナイロン40%/  ポリウレタン5% 
取扱い絵表示
苦情品の外観 衿の保形に使用した接着芯地が部分剥離している。
検討内容
  • 1.何故この現象が起こるのか?
  • ・接着不良
    →接着樹脂のドット密度、量などが適切でなかった。
     接着条件(温度・圧力・時間など)が適切でなかった
  • ・樹脂と生地との相性が悪い
    →水や溶剤に対する生地と芯地の挙動の違い
  • ・洗濯時の条件が過酷であった。
  • ・カフスや見返し部分には発生していないことから芯地が違うものが使用されている可能性がある。
  • ・衿部分にだけ樹脂に影響を与えるような前処理剤を使用した可能性。(衿は皮脂汚れなどが蓄積したり黄変していることが多いため。)
  • 2.判断基準と試験方法
  • ・接着芯、生地それぞれの挙動を確認する。
  • ・同素材で接着パーツを作って剥離強度や耐洗濯性、耐ドライクリーニング性などを確認する。アイロン(スチームや熱)などに対する挙動なども確認する。
  • 3.商品を企画・生産・販売する場合の注意事項
  • ・生地・芯地・接着樹脂の相性の良いものを選定する。
  • ・生産時の接着条件の管理
  • ・販売時に取り扱いについて十分な説明を行い、クリーニングに出されることを想定して注意事項を縫いつけで明示する。
  • 4.商業クリーニングを想定した注意点
  • この様な肌に直接触れるアイテムで夏物商品は、衿部分が汗や皮脂で汚れ、黄変した状態で持ち込まれることが多い。その際、前処理として溶剤や酵素、漂白剤などが使用されることも想定して、これらに対する強度があるかをチェックし、問題があれば注意事項をはっきりと判る形で明示する。

掲載の検討結果は、あくまで課題試料の観察及び事故状況の推定に基づいて検討した結果の一つであり、試験や分析から導いたものではありませんので事実と異なることがあります。ご了承ください。