今回の繊維製品ライフサイクル研究会は、『海外の染色加工技術の現状と問題点』をテーマに染色加工専門家に講演をして頂きました。
(1)タイの繊維産業の現状をお話頂きました。
タイの染色加工に使用する用水は、地下水を使用し、濾過し、軟水処理をして日本並みである事、排水処理もヨーロッパ基準を参考に、日本と同程度であるとの事。
一部染色の原理原則を無視した方法で加工している事もあるが、タイの染色加工のレベルは、そんなに低くなく、今後、近隣諸国に加工生地を供給するビジネス、日本へ縫製品を輸出するビジネスが多くなるだろうとの事。
(2)中国のニット染色工場の実情を9年半に及ぶ技術指導を通し、素材の変遷と工場の格差・品質レベルなど“生”の現状をお話頂きました。
コスト優先で、使用染料が基本的に違い、日欧の染料はあまり使いたがらない。
台湾・韓国製染料は堅牢度が0.5級から1級は劣り、中国製は、低価格だが、更に問題が多い。特に、塩素水堅牢度や色泣き堅牢度・T/C混用品での堅牢度が低い。水洗も含めて洗浄が不十分との事。又、工場管理では、管理職が現場に入らない。社会人としての5Sの観念が無い。など中国特有の文化の違いもあるとの事。
両氏の講演から共通していることは、安い染料を使ってかえって、無駄をしている。見かけコストを気にして、トータルコストを考えていないと言う事もあるようです。