日 時 | 2025年2月8日 10時00分~12時00分 |
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場 所 | 広島県福山市 市民参画センター 4F |
内 容 |
講演 「スポーツを通じて健やかな暮らしを実現」 株式会社ゴールドウィン 開発本部テック・ラボ R&Dグループ 中村 研二 様 |
参加者 | 一般+会員 22名 |
講演 10時00分~12時00分
スポーツ分野の製品開発手法や考え方、品質管理面などTES中国支部では馴染みのない分野について講演して頂きました。
スポーツウェアは運動パフォーマンスを最大限に引き出すことが重要で、そのため通常の衣服とは異なる設計アプローチが必要。
≪スポーツウェアの機能素材≫
【吸汗速乾素材】
吸収した汗を素早く外部へ発散させる高い機能性をもつ素材である。冷却の促進、ベタつきによる不快感や運動性の妨げ、汗冷えの防止において、速乾性は重要である。汗を生地表面に素早く拡散させることで速乾性を高めている。
【防水素材】
防水にははっ水と耐水の2種類がある。はっ水性とは水を弾いて生地自身を濡らさない機能、耐水性とは水を衣服内に侵入させない機能と定義される。衣服内の湿気を外部へ排出することも快適性の維持や身体の保護において重要である。これらを両立するためには防水透湿膜を貼り合わせる必要がある。
≪衣服設計≫
通常の衣類は、直立した人体を基本姿勢として設計するが、スポーツウェアは動きを考慮した姿勢が基本となる。基本姿勢が異なるため、肩傾斜や肩幅、袖山、袖丈など様々な身体寸法が一般衣料とは違ってくる。さらに、スポーツの種類によって基本姿勢が様々であるため、各々の競技において最適な基本モデルを導き出すことがポイントとなる。
また、トップクラスの選手の体型は一般人とは大きくかけ離れているため、一般的な人体モデルからのパターン展開はできない。
≪開発事例≫
スポーツクライミングの開発についてお話があり、この競技は「スピード」、「ボルダー」、「リード」の3種目からなり、種目によって開発コンセプトが異なる。選手の人体形状と動きを解析して、基本姿勢を設定したデータ上でパターン展開している。
ラグビーも、ポジションによって選手の役割や体型が大きく異なる。体型に対する階層クラスター分析から判明した2グループの平均ボディを作成し、体にフィットしながらも汗によるベタつきを軽減させた。その他、ボールのグリップ加工を胸部分に施した。
株式会社ゴールドウィンは、多ブランドで展開を開始している。
中でもラグビーファンから集めたウェアをケミカルリサイクルして、ラグビー日本代表ジャージに再生する取組みをおこなった。ポリエステルを性能低下させることなくケミカルリサイクルすることに成功した。
最後は質疑応答の時間を設け、スパイバーの今後についてもお話頂きました。
ノースフェイスの店舗作りの工夫にも触れて頂き、普段聞くことが出来ないストーリーも聞くことができた。東京からも参加して頂き、貴重な交流の場となりました。