日 時 | 平成23年10月15日(土)13:30~17:00 |
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会 場 | (一財)日本繊維製品品質技術センター 福井試験センター |
参加者 | 46名 |
内 容 | ①「スポーツ・インナーにおける機能素材について」 旭化成せんい(株) 商品科学研究所 スポーツ・機能衣料開発グループ グループ長 出口潤子 氏 ②「最近の繊維用薬剤の課題とアジアの繊維事情」 日華化学(株) 化学品部門 顧問 (前大阪支店長) 金崎英夫 氏 |
出口氏は、スポーツ・インナーウェアの機能素材について解説。清涼性・保温性とは"接触冷温感"。熱伝導率という着眼点から水分含有量が多く含気量が小さいと接触冷感が大、含気量が多いと放熱性を抑制。積極保温は、吸湿発熱等の手法(キュプラ短繊維の優れた吸湿性×マイクロアクリルの吸湿発熱性を混紡した素材)。消臭・抗菌性は、発生した悪臭を多孔性の物質に吸着(物理的方法)するか、化学反応で無臭化(繊維表面にイオン化状態をつくり、悪臭を吸着するスパンデックス繊維)等。話題のコンプレッションウェアは、糸自体の伸縮性と編み構造の工夫で一定の着圧を実現。水着では造波抵抗をデザイン上で工夫。肌触りは柔らかく、ふくらみがある繊維(ハイマルチタイプのキュプラ等)が良い等々。また、濡れて編み目が開く、相変換物質の応用等スマートテキスタイル的な視点での今後の開発を展望。機能の高度化の為には事象の基礎から見直す事、評価技術の向上が重要と強調。
金崎氏は、繊維用薬剤の課題と題して、①臭素系難燃剤(HBCD=ヘキサブロモシクロデカン)の毒性と規制・全廃の動向、代替リン系難燃剤の紹介、②フッソ系撥水剤の安全性問題(C8中心の組成の体内蓄積性・毒性)に対しC6中心の組成への切替or 非フッ素系撥水剤の
紹介、③抗菌・防臭、消臭加工剤について化学的、物理的、生物的、感覚的消臭の各方法の原理とイオン結合を活かした新消臭剤を紹介。次に 石油系溶剤の引火性に対する使用区域制限(建築基準法に抵触)の話題を中心としたクリーニング業界の動向、最後に 海外赴任経験豊富な氏から、中国、タイ、ベトナム等、台頭するアジアの繊維事情について話された。中国については 沿海部から内陸部へのシフトが進む。また 「ブルーサイン・スタンダード」という繊維・衣料分野の新業界基準(EU向け輸出に有利)を紹介された。
両講演に対し熱心な質疑も多く、他支部からの聴講者もあり、有意義な講演会となった。