日 時 | 2023年10月14日(土) 13:30~17:00 |
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参加者 | 82名 (リアル22名、 WEB 60名)。 |
講演1.『有機フッ素化合物(PFAS)の学理再構築に向けて』
講師:京都大学 化学研究所 教授 長谷川 健氏
氏が確立したPFASが示す多くの性質を統一的に説明できる「SDA(階層双極子アレー)」理論を基にお話しいただいた。分子には自ら集まって集合体を作る『引き合う力』があるが、PFASではその引き合う力が独特のものだ。またPFASには炭化水素にないねじれ構造があり、これも自己集合に大きく影響する。PFASは自己集合すると水も油も弾く特徴的な性質が現れるが、一分子のままだと水分子を逆に引き付けてしまう。PFASが自己集合を引き起こすには最低でも炭素数8(C8)が必要なことも分かった。C8以下では一分子の性質がそのまま維持されるケースが多い。PFASは体内に蓄積するといわれるが、集合した分子は撥水性の為、相互作用はなく、毒性も発現しない可能性がある。ただ、生体内でのたんぱく質や水分が自己集合に与える影響は未解明で今後SDA理論を基に研究が必要であるとのお話しでした。自己集合がキーワード。
講演2.『(酵素)セルラーゼの新たなる可能性
~衣類ケアとサステナビリティを両立した衣料用洗剤・柔軟剤~』
講師:ノボザイムズジャパン㈱ 宇山 直人氏
酵素とは何ぞやから始まり、洗濯洗剤を従来構成からグリーンな構成に替える(サステナビリティにつながる)為にマルチな酵素(新しいセルラーゼ)を有効に配合する重要性を話され、それにより衣類の寿命を延ばすことができることを話された。新しいセルラーゼは セルロース系繊維で構成する衣類の毛羽を除き繊維表面をスムーズにし洗濯時の粒子付着を防止することや、カチオン系界面活性剤(柔軟剤)の配合比率を低減することにより吸水性を挙げ、従来以上に 柔らかさや滑らかさを衣類に与えることができるとのお話しでした。
衣類のサステナビリティに酵素を如何に有効に使うかがキーワード。