日 時 | 平成22年6月12日(土)13:30~18:00 |
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会 場 | (財)日本繊維製品品質技術センター 福井試験センター 別館会議室 |
参加者 | 37名 |
1.総会
①平成21年度行事報告、会計報告
②平成22年度行事案および予算案の提示
③役員改選:[新任]島幹事(ウラセ)、西野幹事(平松産業),岩野監事(QTEC)
[退任]加納幹事(サカイオーベックス「)、藤井幹事(ウラセ)
2.特別講演
①「トップアスリートの流体力学と衣服設計の変遷」
~ウィンター競技を通して~ ミズノ㈱ 商品開発部 荻野 毅 氏
②「アパレル製品の品質管理と テキスタイルサプライヤー」
豊島(株)品質管理室 室長 三島 良弘 氏 (元三陽商会試験室長)
荻野氏は、2月に行われたバンクーバー五輪でトップアスリートが着用したスーツの開発の経緯を話され、水着も含め縦横に伸縮するツーウェイトリコット素材のワンピース型スーツが1970年代後半に提案され、1980年代からは風洞実験手法による開発が進み、素材表面形状、ウェア全体の形状抵抗を考慮した設計、特に、スキーのジャンプスーツは「V字型ジャンプ」に対応し、風圧に負けず、軽くて伸びる素材の開発が求められた。ジャンパーの姿勢の変化や向かい角、揚力/抗力・比など風洞実験時の流体力学的パラメーターを示しながら、衣服設計への落とし込みが如何になされてきたかを話され、表地と裏地の間に通気量をコントロールする素材を配置、背中のゆとり率も考慮に入れた5層構造の素材開発と衣服設計に至る経緯を話され、興味深い講演であった。
三島氏は、大手アパレルと専門商社という違った側面を持つ会社勤務のご経験からアパレル製品の企画や流通の現況、品質管理について話された。今や、QR(期近や期中生産)は当たり前になったが、"売れ筋をつくる"ということで、商品の同質化が進んでいる。大手アパレルでも 素材を知らないパタンナーやMDが多くなっており、イタリヤに見られる素材・縫製・パターンを熟知したモデリストの育成が望まれる。アパレル製品の縫製の大半が中国で行われている現状であるが、最近は 韓国や中国の素材を用いたものの比率も拡大している現状である(韓~中ライン:素材は韓国で縫製は中国、中~中ライン:素材も縫製も中国)。中国縫製では、不良も多く、「中間検査」が大事であり、「品質は工程の中でつくりこむもの」という視点が必要である。また、氏は最後に 最近 席巻している"ファストファッション"の試買テストをされ、その結果について触れられ、特に 縫製に係る不良を写真で示され、品質レベルが低いことを指摘された。