3ヶ月程、吊っていたところ裏面が顕著に黄変した。
表面は、特に問題視する黄変は認められないが、裏面(ラミネート面)には顕著な黄変が認められる。また、全体的に硬化が見られる。
組成:ポリエステル 100%(フイルム:ポリウレタン)
取扱絵表示:不明
原産国表示:日本製
再現試験
項 目 |
黄変度 | |
無処理品 | ||
耐 光 | 20時間照射 | 4-5級 |
100時間照射 | 4級 | |
Nox | 20時間 | 2-3級 |
80時間 | 1-2級 | |
光+Nox(20時間照射) | 2級 | |
※黄変度:汚染用グレースケールにて判定 |
(1)耐光試験 | JIS L 0842 |
(2)Nox試験 | 試験片を吊り下げた架台をデシケーターに入れ、蓋をして密封し、酸化窒素ガス10mlを注入する。このデシケーターを80±2℃の恒温乾燥機中に20、80時間放置する。 |
光+Nox試験 | IS L 0888 A法準用 容器に1mlの酸化窒素ガス(Nox)を注入し、密封して20時間照射する。 |
1.事故品は、表面は特に問題視する黄変は認められないが、裏面(ラミネート面)は顕著な黄変が認められ、ラミネートフイルムがポリウレタンとのことから同黄変は、紫外線、もしくはNoxによることが想定される。従って、再現試験として、耐光、Nox試験並びに光+Noxの複合試験を行った。その結果、 (1)耐光試験では、100時間照射でも問題視する黄変は認められず、事故の再現を得ることは出来なかった。 (2)Nox試験では、20時間暴露でほぼ事故品程度の黄変が認められ、事故の再現を得ることが出来た。尚、80時間照射では一層顕著に黄変が進行した。 (3)光+Nox試験では、20時間照射で事故品とは顕著な黄変を示した。
2.以上の試験結果から同事故の要因を推察すれば、同事故はNoxによるポリウレタンシートの黄変であり、使用実態も考慮すれば、日光とNoxとの複合作用で黄変が促進されたものと推測される。
3.同事故の再発防止策としては、下記のことが考えられる。
(1)フイルムシートの素材を変更する。
(2)抗Noxポリウレタンシートを選択する。