インジゴ染めデニムの堅牢度について ― 苦情処理検討会 ミニ講座より― |
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2000年5月16日、苦情処理検討会のミニ講座で、インジゴ染めについて中川さんにお話いただきました。 さらに、内容をコンパクトにまとめた原稿を頂きましたので、掲載いたします。 |
今年もインジゴ染めデニムを用いた製品が流行していますが、今年のものはこれまでと異なり、濃い紺色のまま製品化されているのが特徴のようです。そして、すでに色々トラブルが発生しているようです。 そもそもインジゴの色はスカイブルーなのですが、それを重ねていくことにより、あの紺色になっているのです。ところが、インジゴという染料は、繊維への染めつきの程度が非常に低い染料なのです。従って1度染めただけでは紺色にはなりませんので、2度3度と染めを繰り返してあの紺色を出しているのです。そうして染め重ねた染料が繊維に染まっておれば問題は少ないのですが、染め重ねた染料は繊維に染まっているのではなく、染料同志がくっつき合っているのです。ちょうど親ガメの上に子ガメといった具合になっています。 そして、更に具合の悪いことに、インジゴの染料分子は小さいものですから、それがくっつき合って出来た粒は脆く、こすられると粒が壊れてこすった方にくっつきます。つまり汚染します。洗濯でも同様、洗濯機の水の中でこすられると、水の中に粒が落ちてきます。そしてそれが、他の衣料につくと汚染になります。 従来はインジゴのこのような性質を利用し、石や砂などで表面をこすって表面の染料粒を部分的に落としたり、また、インジゴが塩素に弱いことを利用して部分的に脱色したりして製品としてきました。ところが、今年の製品は濃いままの色ですから、これは洗濯で色落ちしたり、汚染したり、摩擦で汚染したりするのは、むしろ当然といってもよいのではないでしょうか。 そこで、メーカーさんは取り扱い注意の表示を付け、着用中に下着への汚染のあること、単品洗いの指示などがなされていますが、商品のコンセプトとして、インジゴ染めは次第に色が褪せて本来のきれいな色になるという特徴を無視した製品を作るのならば、なにもインジゴを用いることはなく、洗濯や摩擦に強く、色も同様で濃度の出る染料があるのですから、それを用いるべきでありましょう。また、裾に白やピンクの花の刺繍をした商品を見かけましたが、どういった洗い方をすればよいのか、首をかしげてしまいました。インジゴはその様なものですが、衣料は色やデザインだけではなく、着色剤にも気を配って企画、生産するべきではないでしょうか。 |
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