18年度

第2回アパレル問題研究会-ディスカッション

事例1 真鍮ファスナーによる変色
事例2 エリ・カフスワイヤーの収縮
事例3 革パーツの色泣き 
事例4 スリット糸光沢消失
事例5 ビーズの変色
その他参考事例 PVCの硬化/アクリルファーの熱変形

事例4スリット糸光沢消失

事例データ
商品 レディースセーター
苦情内容 1シーズン保管後着用しようとしたら、部分的に色が消失していた。
組成表示 表地:アクリル35%、毛30%、レーヨン20%
ナイロン10%、ポリエステル5%
取扱い絵表示
苦情品の外観 色の消失ではなく、柄部分のスリット糸が変色している。

          正常部分は、アルミが残っている

    事故部は透明のフィルムになっている
検討内容
  • 1.何故この現象が起こるのか?
  • ・スリット糸は、ポリエステルフィルムにアルミを蒸着させた「ワンプライ構造」のものであった。
  • ・高温多湿の環境に長期間放置されたのではないか?(ポリ袋が掛けられていると、蒸発と結露を繰り返してアルミが腐食する)
  • ・天然ゴム製品、硫酸加工紙、ウール製品(加工などにより表面に硫酸が存在する場合など)と隣り合って接触していたのではないか?(変色の状態からハンガー掛けで隣り合っていた?)
  • ・金属の衣装缶に入れると「電池の原理」でアルミが消費される。
  • 2.断基準と試験方法
  • ・現品を強い酸や天然ゴム製品と接触させてみる。
  • ・ジャングル試験
  • ・汗試験
  • ・酸化窒素ガス試験
  • 3.商品を企画・生産・販売する際の注意事項
  • ・ツープライのスリット糸を使用する。
  • ・保管時の注意表示(高温多湿を避け、通気性のよいところに保存、金属の衣装缶やポリ袋、天然ゴム、ウール製品、硫酸加工紙等との接触を避けるなど)
  • ・汗による変色も考えられるので、夏物はなるべく水洗いできるようにする。
  • ワンプライ構造のものは、アルミがむき出しになっているので湿気や酸などの影響を受けやすいが、ツープライのものは、表面がベースフィルムに被われている。
  • *硫酸紙とは、パルプに硫酸を作用させて作られた耐水性、耐油性を持った紙 生成の過程で硫酸をとりぞく為、最終的に硫酸の成分は残らないが、この硫酸除去が不十分であった等、何らかの理由で硫黄分が残留し、加水分解をして硫酸を生成する可能性もある。

掲載の検討結果は、あくまで課題試料の観察及び事故状況の推定に基づいて検討した結果の一つであり、試験や分析から導いたものではありませんので事実と異なることがあります。ご了承ください。