23年度

クレーム事例勉強会 (第86回) 

日 時 平成23年6月17日(金) 
場 所 金城学院大学サテライト
参加者 29名

勉強会要約

(一財)日本繊維製品品質技術センターによる事例紹介 1.シルク100%ブラウスの脇の黒プリント部分に発生した目寄れ。事故品を爪で強く擦ると同様の現象が発生する。絹など表面が滑らかで、糸が滑りやすい生地に発生しやすい。爪で強く擦るのは有効な簡易試験である。 2.ポリエステル65%レーヨン35%黒色ニットシャツの下げ札が汚染された。船積み前製品検査で下げ札の汚染はなかったことと水汚染2-3級、昇華汚染2級の試験結果から、輸送中の高温・多湿の環境下で汚染が発生したと推察される。下げ札に移染するのは劣悪品といえるが、昨年から、業界では色落ちによる商品回収が急増している。濃色物は事前試験による確認が必須と思われる。 3.合成皮革製紳士ジャケットのドライクリーニングによる硬化、ひび割れ。相変わらずの事故であるが、参加者から、外国製の合成皮革には、基布に塩化ビニールを塗り、その上にポリウレタンコーティングしたいわゆる三層構造ものも多いが、その真ん中に使われた塩化ビニールが認識されていないケースも多いとの意見あり。それら全てを合成皮革の1語で表示するとしている規程にも問題はあるが、生産流通の段階で各企業が塩化ビニール使用確認の必要性をどの程度認識しているかにも問題があると思われる。
その他合計12点の紹介があったが、割愛する。
持ち込み相談品の検討 相談者=クリーニング業者
綿100%紳士オーダーシャツをランドリー処理したところ、身丈が8.4%縮んだとクレームになった。
製品の外観に不自然な点は見当たらず、ストライブのゆがみや縫い目の収縮も見られない。縮んだとすれば芯地を使用した箇所もしていない箇所も均等に縮んだことになり、説明がつかない。加工段階で小さくあがった製品を大きく伸ばして糊で固めた可能性が推察され、当該業者が同様に処理して復元を試み、次回に結果報告をお願いする。