2023年度

2023年度 第1回基礎講座セミナー

日 時 2023年7月22日(土) 14~16時
場 所 瀧定名古屋㈱ 17階ホール
テーマ 「簡単に捨てられない一着へ。
 地域農業と連携した染色プロジェクト"ハタケライフカラー"」
講 師 瀧定名古屋株式会社
婦人服地部 82課 シニアデザイナー 葭野あかね氏
参加者 65名

講演概要


 今年度第1回の基礎講座セミナーでは、瀧定名古屋株式会社テキスタイルデザイナーの葭野あかね氏を講師に迎え、「簡単に捨てられない一着へ。地域農業と連携した染色プロジェクト」をテーマにコロナ禍と育児休暇からの復帰をきっかけに立ち上げた"ハタケライフカラー"プロジェクトのこれまでとこれからについてご講演いただきました。
 ファッション産業は、製造にかかるエネルギー使用量やライフサイクルの短さなどから環境負荷が大きく、国際的な課題となっている。衣服の生産から着用、廃棄に至るまで環境負荷を考慮したサスティナブルなファッションへの取り組みが2019年頃から急速に拡がりはじめた。その一方、グローバルに分業化された日本のファッション産業では、サスティナブルを身近なものとして実感することが難しい。そこで、地域資源を活用し、唯一無二な価値を目指して身近な場所・人・モノでつくる「ローカル思考」をもとに直接的に消費者に訴えられる染色に着目した"ハタケライフカラー"プロジェクトについてお話しいただいた。
地元の資源や文化を見直し、「あいちの農(近郊農業)」で廃棄される農作物の端材の提供を知人の農家へ協力を依頼し、マスクメロンの果皮を使用した染色を試みた。さらに、農家との繋がりを拡大し、白桃の枝・小麦の藁、みかんの皮と枝葉を使用した染色。東京農業大学との取り組みから農業女子プロジェクトに参加し、異業種と一緒に創ることで単純な売り買いではない顔が見えるモノづくりから愛着を育て、共感でともに創る取り組み事例をご紹介いただいた。
 国内の繊維流通の特徴として、分業化された長いサプライチェーンから企業間のビジネスでは、素材のこだわりは生活者には届きにくく、既製品の購入の場合、生活者は"素材"を選ぶ経験が少ない。生活者にこだわりを届けるためにも素材を選ぶ暮らしを広め、国内テキスタイル産地の様々な技術や情熱を伝え、農作物の力を借りて生活者に選ばれるテキスタイルを提案し、簡単に捨てられない一着を創っていきたいと今後について展望を述べられた。
 参加者からの質問も多く、ファッション業界におけるサスティナビリティや地域共創について関心の高さを感じるご講演となりました。今後も会員の皆様の更なる研鑽の場として活用していただけるようセミナーを企画してまいりたいと思います。