29年度

平成29年度 第3回 基礎講座セミナー

日 時 平成30年3月10日(土) 14:00~16:00  
場 所 金城学院大学 (大森キャンパス)
講 演 『お客様の声から学ぶ品質管理』
 講師:㈱ディノス・セシール セシール事業 品質管理部 藤田 幸伯氏
内 容 セシールの品質検査概要と、お客様から寄せられた商品に関する数多くのお申し出内容について商品センターでの現品確認と対応、また、「お客様の声」に対しての各委員会の活動状況などでいかに「お客様の声」を活かしておられるかを説明していただきました。
参加者 60名

講演概要

 ㈱ディノス・セシールのセシール事業 品質管理部は香川県さぬき市に拠点を構え、合併前の㈱セシールの考え方を継承して物流部門と連携しながらユーザーの声を大切にし、社内の改善に役立てている。今回は、ライフグッズ事業部等で商品担当を経験されたのち、現在は品質管理部でご活躍されている藤田氏に「お客様の声から学ぶ」という同社の基本的な考え方について具体例を挙げながら、ご説明いただいた。
 リアル店舗では顧客は実際に商品を手にして確認し、納得して購入できるのに対して、ヴァーチャル店舗である通信販売(通販)では媒体にかかわらず、紙面や画面に映し出された写真や情報が購入判断の基準となる。その結果として購入者と販売者の間におけるすれ違いはリアル店舗より必然的に大きくなる。ひとつはイメージ違いに代表される商品の外観的、性能的な差異であり、もうひとつは品質不良に代表される不良返品である。 例えば、衣料品のサイズ的な良し悪しは個人によって判断が異なる。リアル店舗であれば、試着して納得できれば買うわけだが、通販ではカタログ上の数値と写真だけで判断せざるを得ない。従って、購入者が不満に感じてその声を販売者に届けてきたのなら、それを大切にして改善に結びつけるというのは非常に理にかなったことである。
 一般的な品質保証体系は、要求、設計、製造、市場品質の4段階であるが、同社は、基本、設計、製造、出荷、お届け、要求品質の6段階に分けている。一般的な要求品質が同社では基本品質にあたり、 同社の要求品質とは、返品や顧客の声から見えてくる商品への要望である。
中でも安全に関しては、法令遵守は当然のこととして商品開発部門と連携して原因究明、対策を徹底して行っている。昨今はコンプライアンス面でも消費者の目が厳しくなっているので、商品納入前に繊維関連法令、知的財産に関する法令等に則ったもの作りがされていることを仕入れ先に確認するコンプライアンス・チェックシートを管理するのも同部の役割となっている。
 通販の宿命とは言え、同社をはじめとする通販事業者の品質管理に対する明確な姿勢は、繊維業界の品質管理をリードする役割を果たしている。今後も業界をよりよい方向へ導くリード役であってほしいと期待する。