日 時 | 2021年1月16日(土)14:00~16:00 |
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場 所 | ウィルあいち(愛知県女性総合センター) 3階 大会議室 |
内 容 | (1)特別講演
「あらゆるものを循環させる」 講師:日本環境設計㈱ 社長室 室長 日比 伸一郎 氏 (2)懇親会 今回は行いませんでした。 | 参加者 | 62名 |
私たちの身の回りの役目を終えた服は"ゴミとして捨てる"という既成概念により、その多くが焼却もしくは埋め立て処分され、大量の温室効果ガスを排出している。日本で1年間に廃棄される衣類や繊維くずは100万トン以上に及び、環境に大きな負荷を与えている。日本環境設計(株)様が手掛けるブランド「BRING」は「あらゆるものを循環させる」というビジョンのもと、この様に大量に廃棄されるもったいない服を消費者から回収しリサイクルを行っている。
回収された衣料品は、それぞれの素材に適したリサイクル手法を用いて再資源化されるが、その中でもポリエステル繊維は同社の再生ポリエステル工場に集められ、化学的に分解抽出し、ポリエステル樹脂に再生される。衣料品に使用されているポリエステルには、染料などの不純物が多く含まれており、一般的なリサイクルでは除去することが困難であるとされていた。しかし、同社の最先端ケミカルリサイクル技術は、この不純物を取り除き、再び透明なポリエステル樹脂に再生することができる。繊維総生産量の5割以上を占めるといわれるポリエステルを、石油由来の原料に頼らずリサイクルによって何度でも再生することが出来るのである。そして、再生された原料をアパレル企業や商社と共有し、再製品化、販売までをワンストップで行い、「服から服をつくる」循環型社会を構築している。
BRINGは「持って来る」という言葉の通り、不要になったものを捨てるのではなく、BRINGの回収拠点のお店に持って来るという消費者行動を示し、この消費者のモチベーションこそが循環型社会のはじまりと位置付けている。サスティナブルやSDGsの目標達成が注目される今、リサイクルやエコを義務として捉えるのではなく、参加することにエモーショナルを感じ、自らの貢献が形として見える仕組みで消費者の心を動かし問題を解決していく。例えば、回収された綿繊維からバイオ燃料を製造し、デロリアンを走らせる。そんな映画のワンシーンをみんなで参加し再現することが、ファッションと環境の関係を変えていくひとつのきっかけとなっている。現在、BRINGと提携し服の回収を行う店舗は全国各地に2400以上あり、ハチのマークの描かれた回収箱は消費者の生活圏のいたるところに見付けることができる。
コロナ禍でニューノーマルな意識が求められる中、ポジティブな思考を持っていれば、身近な場所から社会に貢献できることに気付かされた。服を選ぶとき、限りある資源を大切にすることや未来を担う子供たちに明るく安心な社会を残すこと、そんな想いとモノが形となった服が目の前にあるのならば、迷わずそこに価値を感じて購入するだろう。