日 時 | 11/17(金)14:00〜16:00 |
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訪問先 | 株式会社 小羽皮革 (特殊クリーニング) |
ご担当者 | 取締役工場長 横山 敬生 氏 |
参加者 | 11名 |
4年ぶりに再開することになった企業見学会は、静岡県袋井市 株式会社小羽皮革様へ訪問、見学会を実施いたしました。
同社は、一般的なクリーニング業者さんでは手間、技術的にも難しいとされている特殊なクリーニングを得意とされており、クリーニング屋さんから仕事を受注されるクリーニング屋さんとして稀有な存在の会社です。
取り扱いは、和装、毛皮、皮革、ダウンウエア、帽子、靴、バッグ、ペルシャ絨毯、等々百貨店の特選売場でしか見ないブランド品がずらりと並んでおり、一般の方ならどこへお願いしたらいいのか想像もつかない品物がクリーニング加工されていました。中にはバイクレーサーの皮のレーシングウエアもあり目を引きました。
工場内は横山工場長のお計らいで、NG無しで通常では見ることのできない手仕事工程、日本に一台となってしまった貴重な機械からオリジナル仕様の機械類、スタッフの方々の工夫された道具、ホコリを嫌った作業部屋 等々、歴史を感じる仕組みと技術力に触れさせていただきました。また、洗浄剤、乾燥方法、温度、等々本来ならマル秘情報と思われますが遠慮なく質問し、ご回答をいただきました。中には失敗の許されない高級品(中には車が買える値段の製品など)もあるとのことで、担当する職人さんは、慣れた得意工程を請け負う事が基本になっていました。この考え方で仕事して頂けるのは信頼につながる考え方と思いました。
仕事の流れとしては、入ってきた品物を一つ一つ其々の汚れ・傷みの現象を経験と技で見抜き、各工程へ振り分けることから始まります。各工程では職人さんが汚れ、傷みに合わせて、オリジナル道具を使い、ほとんど手仕事で作業が進んでいきます。皮革製品の色の再現もされており、最終、乾燥工程を経て鮮やかな色によみがえった品物を見ると、思わず感嘆の声を上げてしまう光景でした。消費者の方がこの品物を購入したいきさつはわかりませんが、きれいになった製品を再び得意げにブランドを見せつけながら使うのをイメージすると冥利に尽きるだろうなとうらやましく思えました。
気に入ったものを、修正を加えながらでも永く使っていただけるのは、作る側としても嬉しい事です。物を大切に使い続ける文化は本来、日本の得意分野だと思っていましたが、いつの間にか衣料品の廃棄が大きな問題となってしまっています。単純にリサイクルという事だけでなく、本当に良いものを作り上げ、少々高くても気に入ったものをがんばって購入し、大切に永く使っていくことの大切さを、それぞれの立場で何度でも問い続ける必要があると改めて感じました。