日 時 | 2018/12/14(金) 18:30~19:40 |
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場 所 | 金城学院大学サテライト |
内 容 |
ミニ講座 『インクジェット捺染 現状と将来(化学式のない)』 講師 アドバンストコンサルティングパートナーズ 代表 伊藤 高廣 氏 |
参加者 | 36名 |
ミニ講座『インクジェット捺染 現状と将来(化学式のない)』
講師 アドバンストコンサルティングパートナーズ 代表 伊藤 高廣 氏
世界的に環境問題が喫緊の課題となる中、繊維業界においても使用する水や排水に関する規制が強化されつつある。染色整理産業は、大量の水を必要とするため、環境問題に関して業界の中で最も注目される業種である。
そうした状況の中で、大量の水を必要としないインクジェットプリント(デジタルプリント)は従来のプリント(アナログプリント)に取って代わり得るのか、東海染工㈱OBで現在は染色コンサルタントとして活躍されている伊藤高廣氏にデジタルプリントの現状と今後について化学式を使わずにご講演いただいた。
当日の内容は大きく6つに分かれている。
1.テキスタイルビジネスの現状
2.アナログプリント(AP)の現状
3.デジタルプリント(DP)の現状
4.プリントヘッドとプリンター
5.デジタルプリンターの傾向とインク
6.デジタルプリントビジネスの未来
それぞれのテーマの中からポインをト幾つか列記する。
1.地球規模での人口増加に伴う衣料品需要の増加を支えているのはポリエステル生産の増加である。
2.全繊維生産量の中でプリントが占める割合はおよそ10%程度である。
3.アナログプリントの世界生産量は300億㎡(2014年)であるが、プリント手法はロータリー式が67%、フラット式が26%と両者で90%を超えるシェアを占めている。
4.世界の二大テキスタイル産地である中国とインドにおいて、環境問題は切なるものがあり、インドでは既に1974年にWater Actが、中国でも2015年に水十条が制定されて水に関する環境規制が始まっている。
5.プリントビジネスにおけるデジタル化比率は2017年で5.5%であり、当面の目標は10%である。
6.デジタルプリントではプリント手法はアナログと異なるが、前工程と後工程において厳しい管理が要求されることに変わりはない。
7.プリントヘッドは日本製機器が世界で90%以上の圧倒的シェアを占め、Drop on DemandタイプのPiezoと呼ばれる圧電式が主流である。
8.プリンターはイタリアと中国のメーカーが強く、マルチパスと呼ばれるヘッドが移動しながらインクを噴出するタイプが主流である。
9.アナログプリントとデジタルプリント双方の長所を取り入れたハイブリッドタイプのプリンターや前処理工程対応機器を内蔵するプリンター等も開発されている。
10.機器の小型化により、専門のプリント工場でなくても縫製工場の一角でプリントを作るようなSmall Factoryも今後可能になる可能性がある。
伊藤氏には60分という限られた時間での説明をお願いしたが、染色工場の排水管理に代表される生産工場の水管理という喫緊の課題に対応するためにも、堅牢度等の課題を改善しつつ、業界を挙げてデジタルプリント化の推進を真剣に考えていく必要があると感じる講演であった。