日 時 | 2025年9月20日(土)13:00~15:00 |
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場 所 | 名古屋文化短期大学 |
テーマ | 『産元商社が挑む「産元らしくない」挑戦 ~新たな繋がりと商機を生む取り組み事例~』 |
講 師 | 森菊株式会社 テキスタイル第1部 第1課 副部長 石川雅祥氏、 大羽菜那氏 |
参加者 | 41名 |
愛知県蒲郡市に本社を構える森菊株式会社から石川氏と大羽氏を講師に迎え、産地問屋としての枠を超えた新しい挑戦についてご講演いただいた。森菊株式会社は1897年創業、三河の分業制産地の中で「産元」として長年地域を支えている企業である。
講演では、輸出への挑戦、異業種との連携、一般消費者との繋がりづくり、そして三河縞の復刻という4つの取り組みが紹介された。
海外販路の開拓では、JETRO誘致による海外出展を通じてリアルな市場の反応を体感。国内市場が伸び悩む中、外に目を向け且つ自らが直接売り先にアプリーチすることで、新たな可能性を見出している。
異業種との連携では、食品残渣を染料に活用する「SHOKUSAI」や、衣類を反毛して再び織物にする「HANMOU」など、サステナブルな視点を持ったブランドが紹介された。単なるリサイクルではなく、地域資源や人の記憶を活かした"ストーリー性の強いものづくり"が印象的だった。
一般消費者との接点づくりとしては、自社イベント「もりきくマルシェ」やSNSでの発信、自社ブランド「AFFINITY」の立ち上げなど、地域に根ざしながらも広く発信する姿勢が伝わってきた。
三河縞の復刻では、博物館資料である「縞帳」をもとに再現された製品が、海外バイヤーから高評価を得た。伝統と地域性が、グローバル市場に通用する価値であることを示す好例となっている。
当日、会場では抹茶染めや反毛、復刻された三河縞の実物が回覧された。三河縞の色には意味があり、現在に当時のものが残っていないことにも意味があるという話は、まさに地域のストーリーであり、講師の話に深く頷きながら熱心に耳を傾ける参加者の姿も印象的だった。地元に根差しながらも外に向けて挑戦する姿勢に、共感と刺激が生まれた講演となった。