日 時 | 2024/9/14(土) 13:00~15:00 |
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場 所 | 名古屋文化短期大学 |
テーマ | 『獣毛鑑別技術の最前線~ペプチド分析法とリサイクル獣毛の判別技術~』 |
講 師 | (一財)ボーケン品質評価機構 未来研究所 技術開発課 小出 真也 氏 |
参加者 | 49名 |
獣毛鑑別技術の最新情報として、ボーケン未来研究所の小出真也氏をお招きし、金沢工業大学との研究開発によるペプチド分析法およびリサイクル獣毛の判別技術を含む下記内容についてお話しいただいた。
1.獣毛・天然皮革・毛皮の表示
2.化学的手法による判別技術
3.環境配慮設計への対応と課題
4.リサイクル繊維の判別技術
5.今後の取組
たぬき、フォックス、フェレット等の毛の観察写真や、繊維外観が酷似しているカシミヤとヤクの対比、演色等により影響を受ける例を通し、従来の顕微鏡法では特定できないケースが紹介された後、2023年1月20日にJIS L 1030-3-1:2023で発行されたペプチド分析による判別技術について詳細な解説をいただいた。ペプチド分析のスペクトルのピークパターンにより動物の判別が可能であり、現在すでにほとんどの動物のスペクトルピークがデータベース化されているため、「何の毛かわからない」検体が持ち込まれても極めて高い精度で動物がわかるという鑑別方法であった。この技術を用いることで、ラクーンとタヌキ、ダックとグース等、顕微鏡法のみでは難度の高い動物の判別も可能となっている。ラクーンとして持ち込まれた検体の多くが実はタヌキだったという結果には、会場の参加者からも驚きの声が上がった。
また、環境配慮素材が求められる中、現在は認証や取引記録等の書類での確認が主流であるトレーサビリティ確認やリサイクル素材としての証明を、判別技術で解決できないかという挑戦的な試みについてもうかがった。リサイクル繊維の特徴を想定し、その想定仮定をペプチド分析と係数を使うことで検証し、リサイクル素材かバージン素材かを判別する研究の進捗をご共有いただいた。そして今後の取組として、リサイクルポリエステルの判別技術研究についても触れられた。
講演後は会場の使用時間いっぱいまで参加者からの質問が相次ぎ、化学的鑑別技術への興味と期待の高さがうかがえ、今後の実用化が非常に楽しみな講演だった。