2023年度

2023年度 第3回基礎講座セミナー

日 時 2024年3月16日(土)  13:00~15:00
場 所 名古屋文化短期大学 B401教室
テーマ 「衣類にまつわるカビについて」
講 師 NPO法人カビ相談センター 理事長
高鳥浩介氏
参加者 81名

講演概要

 今回の講演はカビの専門家である高鳥氏をお招きし、カビの基礎知識、なぜ衣類にカビが生えるのか、カビの発生を防ぐ方法について詳しく講演をして頂いた。講演の参加者も多く衣類とカビの問題に対する関心の高さが感じられた。
 カビは地球上に数万種いると言われており、湿気が多い、ホコリのたまりやすい、空気が淀みやすい場所を好む性質がある。カビの中で衣類に付着しやすいカビとして、アオカビ、クロカビ、コウジカビなどが挙げられ、乾燥に対する強弱、存在する環境などそれぞれが異なる性質を持っている。
 衣類にカビが生えるのは、温度(20~30℃)、湿度(80%以上、60%以下では生えない)、養分(ホコリ、食物、手脂、汗、垢)、酸素濃度(0.1%以上)の条件が揃った場合である。カビの発生初期は目には見えないが臭気はする為、臭ったらどこかでカビが生え始めている為注意が必要。
 カビの発生を防ぐ為には、洗濯、乾燥、消毒、除塵・掃除が必要である。但し、洗濯、乾燥、除塵・掃除はカビを減らす事は出来るが完全に取り除く事は難しい。カビを取り除くには消毒が有効である。消毒にはアルコール消毒と次亜塩素酸水消毒がある。アルコール消毒は安全性が高い方法であるが、汚染や臭いを除去する事は出来ない。次亜塩素酸水は汚染や臭いの除去作用はあるが、衣料品自体の変色の恐れもあり取り扱いに注意が必要である。  クリーニング後の管理も重要である。ホコリの付着、汚れた手で触れるとカビが発生しやすくなる。また、クリーニング後のビニール掛け保管はビニール内が高湿度となり、タンスやクローゼットへの衣類の詰め込みは通気を悪くする為、いずれも衣類が湿気を吸い込みカビの発生する原因となる。顧客に対して正しい管理方法の指導も、カビ発生によるトラブルを防ぐ為に必要な事である。
 この様にカビの発生を防ぐ為には、カビに対する正しい知識を持って対応する事が必要である。