今年度最後の基礎セミナーは日本の製革業界では初となるLWＧ環境認証を取得された有限会社繁栄皮革工業所の副社長である中嶋正樹氏を迎え、「ファッション業界におけるサスティナビリティの潮流」をテーマにＬＷＧ環境認証とはどのようなものか、製革業界の規制物質及びＳＤＧｓの背景についてご講演いただきました。
　具体的な内容としては、世界的ブランドは環境に配慮していると認められた製革業者からレザーの供給を行うことから、環境に留意していないとブランドに納めることができないという背景があり、海外ではＬＷＧ環境認証を取得していることが必須条件であり、タンナーの認証取得数も増加傾向にあるとのことでした。また、REACH規制やZDHC、ESG投資についても丁寧に解説していただきました。どの国においても流通できるものを作るために規制物質についてはアンテナを高くしておく必要があるということでした。最後にＳＤＧｓの背景にある水不足の問題が取り上げられバーチャルウォーターや牛原皮のランクについての解説がありました。サスティナビリティ・環境配慮については海外では真剣に取り組まれ、特にヨーロッパでは社会的体裁だけのサスティナビリティでは通用しないという厳しいお話がありました。
　講演後は質疑応答、名刺交換及び個別の質問にもお答えいただき、具体的なLWG環境認証取得に関する解説や取り組みなど丁寧にお話しいただきました。
　製革業界でのサスティナビリティ・環境配慮についての取り組みや考え方を聞き、企業としての社会的責任、消費者としてのあり方を改めて考えさせられる講演でした。
　今回も感染防止対策をとりながらの開催となりましたが、今後は社会状況に柔軟に対応しながらコロナ禍以前のような会員同士の交流の場となるよう、企画していきたいと思います。