日 時 | 2021/11/13(土) 14:00~16:00 |
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場 所 | ウィルあいち 大会議室 |
テーマ | 『繊維業界におけるサステナブル経営と国際認証ラベルの役割』 |
講 師 | 一般社団法人 日本サステナブル・ラベル協会 代表理事 山口真奈美氏 |
参加者 | 76名 |
2015 年9月の国連サミットでSDGs(持続可能な開発⽬標)の採択以降、国内外において、官⺠での取り組みが活発になっているが、日本の繊維産業では、一部の企業においてサステナビリティの取り組みは徐々に始まっているものの、取り組みが十分になされているとは言い難い状況にある。こうした状況を踏まえ、繊維産業におけるサステナビリティへの取り組みにご尽力下さっている一般社団法人 日本サステナブル・ラベル協会様の山口代表理事に講演を頂いた。
安価な衣料品の大量生産消費が引き起こす、廃棄物、生産者の低賃金、不適切な土地利用、環境汚染(水使用・土壌汚染・空気汚染)といった社会の問題に影響が大きい繊維業界に対して、誰もが幸せにエシカル(倫理的、道徳的)且つサステナブル(持続可能)な生活を送るためには、繊維製品の原料調達から製品製造の環境面や社会面において、バックキャスティング的な考え(未来のあるべき姿から逆算して現在の施策を考える発想)で持続可能な取り組みを考察することが重要であり、消費者が持続可能な取り組みを行っているラベルの付いた商品を選択してサステナビリティに参画できる仕組みが必要となる。
SDG'sのための重要なツールである以下の色々な認証ラベルについて説明された。
・GOTS(Global Organic Textile Standard):オーガニックテキスタイル世界基準
・OCS(Organic Content Standard):オーガニック原料を含む製品の生産・製造に対する認証
・FSC(Forest Stewardship Council):森林管理協議会
・RSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil):持続可能なパーム油製品の生産・購買・融資・利用
・有機JAS:有機食品のJAS規格に適合した生産
・FAIRTRADE:国際フェアトレード認証(生産者への適正価格、適切な労働環境、人権保護、環境配慮)
・レインフォレストアライアンス(Rainforest Aliance Certified Seal):持続可能な農業、森林管理、観光業
・MSC(Marine Stewardship Council):持続可能な漁場で摂られた水産物
・ASC(Aquaculture Stewardship Council):持続可能な管理で養殖された水産物
安価な衣料品の大量生産消費が引き起こす、廃棄物、生産者の低賃金、不適切な土地利用、環境汚染といった生産上の問題が改善されている商品であることを示すエビデンス(証明、証拠)として信頼性や透明性が重要となるため、認証ラベルは第3者である認証機関が環境・社会上の問題が一定水準以上に改善されているかを審査・確認する仕組みである。
日本の繊維産業で認証ラベルが浸透しない原因は、長く複雑と言われるサプライチェーンの管理(サプライチェーン各々でSC(範囲の認証)とTC(商取引証明書)が切れ目なく取得していることが必要となる。)などが障害となっていること、そしてその壁を乗り越えて認証ラベルを取得しても手間と費用に見合った価値が認められていない事である。
現在、学校などでSDGsを教えていることもあり10代の若者ほど認証ラベルの認知度は高く、将来これらの若者が消費中心者となることからSDGsの取り組みを行なっている商品が当たり前となることで、取り組んでいない商品や企業は淘汰されるのではないかと予測される。また、丁度COP26が開催されていて頻繁に報道されているが、今後、日本でも更なるサステナブルの機運が高まり、認証ラベルの認知度と重要性がアップすると思われる。
最後に、一般社団法人 日本サステナブル・ラベル協会様がサステナブル・ラベル(持続可能な原材料調達や環境・社会的配慮につながる国際認証ラベル)を普及させることで、倫理的な生産・流通・消費を促進し、持続可能な社会の実現に貢献することを目的として活動を行なっている協会であることを紹介頂いた。
なお、コロナ感染者が減少している現状ではあるが感染予防のため、定員252名の大会議室に参加者を76名に制限して間隔を空けて受講し、入室時には検温やアルコール消毒、マスク着用をお願いし、十分な換気を行うなどの対策を実施して講演が行われた。