日 時 | 2021/7/24(土) 14:00~16:00 |
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場 所 | ウィルあいち 大会議室 |
テーマ | 『共有価値の創造とソーシャルサステイナビリティ』 |
講 師 | 杉山 雄大氏(タキヒヨー株式会社 サステイナブルチーム) |
参加者 | 71名 |
昨年に引き続き、本年度も第1回基礎講座セミナーではサステイナブルがテーマとなった。
すでに様々な分野で世界的なムーブメントになってきていることは周知のことだが、ことファッション業界において転換期となった事例を数件挙げながら、現在に至るまでの流れを丁寧に解説いただいた。さらにこうした動きに伴った購買意識の変化も紹介され、環境や社会に配慮された商品を購入したいというマインドが根付きつつあることが示された。
実際の活動についても具体的な紹介をいただいた。衣料品を全て1から作るのではなく、余ってしまった繊維製品を回収し、新たな原料としてリサイクルする循環型システムの構築や、他の素材と組み合わせた商品開発事例などである。また、グアテマラの企業が展開する「THE NEW DENIM PROJECT」にも参画されており、前述の循環型システムをデニム素材で実施されている。再生された製品は漂白・染色などを行わないことも特徴で、様々な繊維が混在することによる独特の色調が好評とのことであった。すでに日本国内でも採用されており、ご持参いただいた製品を拝見することが出来た。さらに、発展途上国における経済自立支援活動にも取り組まれており、アジア圏のキャッサバ農家に野蚕の飼育指導を行い、採取された繭や蛹を買い取ることで副収入となる仕組みとなっている。
これらの取り組みは、内容としてはどれも興味深く、目を引くものであるが、経済活動として運営して行くには特にコスト面で大きな課題を抱えていることは否めない。題目にもあるとおり、「共有価値の創造」をいかに進めて行くかが、本当の意味での持続可能への第一歩であることを痛感した。
冒頭でも触れられた購買意欲の変化によって、近いうちにサステイナブルに係るコストが許容されるタイミングが訪れると予想されている。行き過ぎたファストファッションの流れが転換される時に、すぐに対応出来るよう、様々な取り組みにアンテナを張っておく必要があるだろう。