日 時 | 2019年9月7日(土)14:00~16:05 |
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場 所 | 名古屋文化短期大学 |
テーマ 講 師 |
テーマ:『ファスナーの基礎知識とトラブル事例』 講 師:YKK㈱ ファスニング事業本部 ジャパンカンパニー 顧客サービス室 西日本グループ 山口 時子 氏 |
参加者 | 53名 |
衣服の着脱のためのあきを留める服飾資材としてボタンとともに重要な役割を果たしているのがファスナーであるが、毎日のように使用している身近な存在過ぎてあまり気にしないのも事実であろう。今回のセミナーでは、世界的ファスナーメーカーであるYKK㈱ ジャパンカンパニー 顧客サービス室長の山口様にファスナーの基礎知識とトラブル事例についてご講演いただいた。
長年業界に関わりながら情けない話であるが、筆者は、コイルファスナーのエレメントは1本の繋がったコイル状になっており、だから、コイルファスナーというのだと今回初めて知った。金属ファスナーやビスロンファスナーはエレメントの材質による呼び方だが、コイルファスナーの場合はエレメントの形状による呼び方なのだ。
講演の第1部「ファスナーの基礎知識」の最後にファスナー選定のために必要な情報が語られた。基本性能の情報として
①エレメントのサイズ
②チェーンタイプ(エレメントタイプ)
③製品区分(止、開、逆開などの機能)
④テープ材質
⑤スライダー機能
⑥スライダー仕上(色目)
⑦その他の特殊仕様の7項目、それに加えて発注ごとの個別条件として
⑧寸法(長さ)
⑨テープ色
⑩数量(必要本数)
の3項目の合計10項目である。
次に話された機能商品の紹介では、ファスナーの着脱を容易にするための機能が紹介された。スカートやパンツに使われる止ファスナーはパーツが左右に開くだけだが、ジャンパーなどに使われる開ファスナーは完全に分かれてしまうため、着用時に左右の開具をかませるのに苦労することがある。高齢化社会が進行している現在、今後いかに簡単に着脱できるファスナーにするかはアパレル業界の大きな課題となる可能性を秘めている。また、そうしたファスナーを使用することは、高齢者や子供が着用中に衣服が物に引っ掛かって首が閉まってしまうなどの事故を防ぐ意味でも重要である。
トラブル事例では、一番申し出件数の多い変色事例に関して汚れ除去剤の酸などによる変色、破損事例に関して切替部分で発生しやすい事例であることなどが紹介されたが、ここでの詳細な記述は控えておく。
会場には、様々な種類のファスナーサンプルやトラブル品が展示され、休憩時間や終了後にはそれらを媒体として講師と参加者の熱心な質疑が交わされた。