日 時 | 平成30年9月8日(土) 14:00~16:00 |
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場 所 | 名古屋文化短期大学 |
講 演 | 『家庭用品品質表示法改正における変更点と注意点、業界の動向について』
講師:(一財)カケンテストセンター 業務部 営業統括室 室長 杉原 英樹 氏 |
内 容 | 家表法の改正で、変更になった項目の中から分かりづらい指定用語(コンジュゲート繊維、リネン・ラミー、モダール・テンセル)を中心に解説していただき、取扱い表示については、消費者アンケートの結果やATTSが集計した相談内容について説明をしていただいた。 |
参加者 | 56名 |
2016年12月から2017年4月にかけて施行された家庭用品品質表示法改正では、取扱い表示の国際整合化と指定用語の見直しが大きなポイントであった。この二つのポイントに関連して施行後の業界内でトラブルや議論の話はほとんど出ていないが、施行前に言われていた問題点がすっきりしたのかといえばそうでもないというのが現状と思われる。そこで今回のセミナーでは一般企業より幾分行政に近い立場にある検査機関を代表してカケンテストセンターの杉原氏にこれらについて解説をお願いした。
(1)指定用語の見直し
指定用語見直しの主旨は、繊維製品の組成表示を消費者によりわかりやすくすることにあった。ところが、現実は主旨に反して見直しによって以前よりも分かりにくくなったのではないだろうか。その一例が「麻」が「リネン/亜麻」と「ラミー/苧麻」に変更された事例である。実際問題としてリネンとラミーを区別できる消費者がどれだけいるだろうか? 単にリネンの方が高級そうというイメージを持っているにすぎないのではないか。ましてや、亜麻はまだしも苧麻という言葉を知らない消費者も多いと思われる。
また、「指定外繊維」が廃止され、「植物繊維」「動物繊維」から始まって「分類外繊維」までに細分化されてより分かりづらくなったように思われる。極め付けは「複合繊維」表示である。業界内でコンジュゲート繊維と言われるものが「複合繊維」の対象となるが、業界人でさえ理解しづらいことに加え、表記規定の曖昧さも加わって消費者に分かりづらい表記だと思われる。
(2)取扱い表示の変更
表示記号がISO規格に整合化され、概念も従来の指示情報から上限情報に変わったが、地域によるローカルルールも認められているので実際には日本製品の表示は主として日本の消費者を対象とした日本国内での取り扱いを前提とした表示である。それは洗濯文化の違いや洗濯機の違いがあるので致し方ない。
表示を決める側としては、従来の日本にはなかった①商業クリーニングにおけるウェットクリーニング表示、②酸素系漂白剤表示、③家庭用タンブル乾燥表示の3点への対応に苦慮しているであろう。
(3)これらの他に、洗剤メーカーが行った消費者アンケート結果から見える表示への疑問、繊維製品技術研究会(ATTS)がまとめた新JISに関する消費者からの相談内容について説明された。
最後に、海外と日本の表示の違いについて「表示記号と意味は同じである。但し、洗濯に関する考え方は異なる。また、国によって洗濯機の構造が違うので試験方法も一部異なる。」と締めくくられた。