日 時 | 2019/5/25(土)13:30~18:30 |
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場 所 | 名古屋文化短期大学 |
参加者 | 42名 |
【年次大会概要】
1. 本年度来賓 ㈱シキボウ江南 取締役工場長 増田 義弘氏
来賓増田氏のあいさつ要旨:
コストに対する要求は厳しいが、求められる高い品質、機能性等をさらに向上させていく
ために繊維製品の国内製造を継承することが大切である
2. 2018年度支部活動報告及び会計報告・会計監査報告
3. 2018年度支部功労者表彰
4. 2019年度支部幹事・役員紹介
5. 2019年度支部活動計画案報告
6. 特別講演
『CSR体制の構築について』
講師:(一社)日本アパレルクオリティセンター 理事長 山下 隆氏
【講演概要と感想】
CSRが叫ばれるようになって久しいものがあり、最近ではSDG'sのような次の目標も出てきている。残念ながら、我が国の繊維産業界においては一部企業を除き、SDG'sはおろかCSRの概念さえまだ遠い存在である。そうした状況下にあっても、我が国繊維産業が真に国際化していくためにCSRは避けられない概念であるとして徐々に普及に向けた動きも進みつつある。
今回のセミナーでは、そうした動きを積極的に進めている業界関係者のおひとりである山下氏に現状の課題やこれから目指すべき方向についてお話しいただいた。
山下氏がCSRに関わるようになったのは約10年前という。発端は取り扱う海外ブランドアパレルからの要請により対応せざるを得なくなり、個別対応を進めたというのが舞台裏のようだ。深入りしたのは、2013年にバングラデシュで縫製工場の入ったビル倒壊により多数の死者が発生した事故以降だという。確かにあの頃から業界内でCSRという言葉を聞く機会が増えたように思う。
CSRが広がってきた背景には二つの理由があり、ひとつは人権保護団体の摘発であり、もうひとつは海外メーカーの取引条件化である。我が国のみならず、縫製の海外移転は低賃金を求めての歴史であったが、それが限界にきているということであり、CSR面の管理を通じて優秀な工場との取り組み強化につなげることが継続的なもの作りに欠かせない時代になってきたといえる。
一方で、CSRのために必要な工場監査は、費用と時間がかかり、おいそれと進まないのも現実である。監査を4段階に区分し、特徴やリスクレベルを整理して話していただいた部分は非常に参考になった。
これからの日本アパレルの目指すべき方向は「チームジャパン」での対応だという。欧米に比べて10~20年遅れている現状であるが、欧米式が必ずしもベストではない。それは以下のようにまとめられる。
(1)欧米に比べてブランド力が劣ったり、工場にとってうまみのある仕事が少ないため、
工場を切り捨てることが難しく、指導的監査により育てていくことが求められる。
(2)欧米式にアパレルが個別に対応する方式では、監査漬けになりかねず、アパレル、
工場双方の負担が大きすぎる。
(3)監査結果をアパレル全体で共有し、共通の尺度で工場評価ができる体制作りが必要である。
(4)欧米式の「ブランドを守るための監査」では改善指導をしない。「作り場を守るための
日本式監査」では監査によって発見された不適合を是正させることが目的である。
(5)取り組みの一環として、(一社)日本アパレルファッション産業協会(アパ産)に
CSR部会が設置され、「アパ産標準CSR要求事項」「工場評価基準」を作成した。
各アパレルの具体的対応として、各社が縫製工場のリスクマップを作成し、工場の重要度やリスクの高低により必要な対応から順次進めていくことを提案された。懇親会 17:00~19:00AOIcafe