第45回クレーム事例勉強会

TES会 中部支部
児玉 肇


第45回クレーム事例勉強会報告(1)

日時  平成16年8月20日

場所  名古屋市西生涯学習センター

事例  穴あき

品名  カーディガン婦人コート
    (色:生成)

原産国 日本製


組成  指定外繊維(和紙) 100%

取扱い絵表示
事例提供者業種  商社・問屋

苦情内容
カーディガンに汚れが付いていたのでシミ抜きしてから取扱い表示に従いクリーニングしたら数カ所に穴があいた。

検討内容

・クリーニング店で水溶性シミ抜き剤を塗布した後、ドライクリーニングをしたら穴があいた。シミ抜きした所があちらこちら白くムラ状になった。

和紙繊維は主成分がセルロースであり麻、みつまた、こうぞ、ケナフ、笹等で製造されている為、綿と物性が近似している。

・漂白剤、酸素入り洗剤の使用は繊維強度を劣化させる。家庭でのカビキラー液の付着にも注意する。和紙繊維、綿は強酸で劣化するので注意する。

・ネットを使用せずクリーニングを行った。

検討結果

・シミ抜き剤を使用した部分が漂白されてムラ状に白くなっており強酸(塩素系)の薬品が使用されたのではないかと考えられる。これによりシミ抜き剤が多く使用された箇所の繊維強度劣化が発生しネットを使用せずクリーニングをした為に物理的引っ張りにより繊維破断され穴あきが生じたと考えられる。

・メーカーは消費者に対して、和紙繊維衣料など新しい製品素材の着用・クリーニング取扱い方法についてタック・ラベル等で説明する必要がある。



第45回クレーム事例勉強会報告(2)

日時  平成16年8月20日

場所  名古屋市西生涯学習センター

事例  色落ち


品名  婦人ブラウスとスカート
    (うぐいす色)

原産国 中国製


組成  綿 100%
    ワッシャー仕上げ

取り扱い絵表示
中性    (表示:高熱でのアイロンは避ける)

事例提供者業種  クリーニング業者


苦情内容
@スカートのみ石油系ドライクリーニングし乾燥したら白い粉末をふいた。再度洗い直したら白粉は落ちた。ブラウスと色差(濃淡)がでてしまったと同時にスカートとブラウスの風合い(ソフト感)が違ってしまった。

Aブラウスは着用しただけだが数カ所でスレによる色落ちが発生された。
検討内容
・スレによる色落ち箇所と柔軟剤の樹脂脱落による白い粉末付着の様な箇所がある。

・ブラウスとスカート生地表面をよく見るとワッシャー仕上げによる細かいシワの凸部分でのスレによる色落ちが所々ある。

・ブラウスの色調はスカートより若干うすく風合いも柔らかい。ロット違いか仕上げ違いなのかは不明。

・加工条件等が不明瞭なためメーカーに原因追及も含め問い合わせる。

検討結果

・メーカーからの原因分析回答によれば、@スカートのドライクリーニングによる白粉発生原因は塩縮工程後の水洗不足で薬品(柔軟剤など)が残った事が原因である。A色落ちの原因は水洗時に生地がロープ状になり残った薬品と共に強くスレた所の染料が落ちたことによるものである。

・スカートとブラウスの風合い違い、色違いは加工ロット差で品質管理の問題。