第44回クレーム事例勉強会

TES会 中部支部
児玉 肇


第44回クレーム事例勉強会報告(1)

日時  平成16年6月25日

場所  名古屋市西生涯学習センター

事例  芯地接着剤のシミ出し

品名  婦人コート
    (白色)

原産国 中国製


組成  ポリエステル 46%
    綿 38% ナイロン 16%

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事例提供者業種  クリーニング業者

苦情内容
石油系ドライクリーニングしたら芯地の接着剤がシミ出した。前立て、衿、裾、袖先に細かい斑点が出来た。

検討内容

・アイロンプレスはしていないのでアタリによるものではない。

石油系ドライクリーニング後の汚れ液で汚れが寄ることもある。

・芯地の接着剤が石油系ドライ液で軟化しシミ出すことがある。

・パークロ液でシミは落ちるが芯地剥離の危険性がある。

検討結果

・石油系ドライクリーニングの場合、芯地の接着剤が軟化しドット状に寄り、生地表面にシミ出すものがある。特にアクリル酸エステル系芯地接着剤は140℃以上のプレスは繰り返しはしない。

・某試験所で新品製品の石油系ドライクリーニングテストをしても芯地のあるところで斑点状のシミ発生が確認された。メーカーは石油系ドライクリーニングによる芯地の耐久テストを事前に試験確認しておくべきである。



第44回クレーム事例勉強会報告(2)

日時  平成16年6月25日

場所  名古屋市西生涯学習センター

事例  シミ汚れ


品名  婦人スラックス
    (白色)

原産国 日本製


組成  ナイロン 50%
    ポリエステル 45%
    ポリウレタン 5%

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タンブラー乾燥はお避け下さい。

事例提供者業種  クリーニング業者


苦情内容
石油系ドライクリーニングして自然乾燥したらシミが出た。再洗いしたが取れない。
検討内容
・クリーニング前には汚れはなかった。

・膝部位に2ヵ所うす茶色のシミ汚れが見られる。

・タンブラー乾燥はしていない。

・シミ汚れは生地の表側で濃く裏側ではうすいので着用中に膝部位に何かこぼしたものと想像される。

・シミ抜きをしたが通常の方法では落ちない。漂白は生地色と差が出るのでやれない。

検討結果

・お茶のタンニンや清涼飲料水(果糖類)がこぼれて衣料に残り繊維内固着している場合のドライクリーニング後によく起きる現象である。

・タンニン、果糖類はドライクリーニング後の急激な乾燥時の熱化学作用で変色が起こり易い。この場合、自然乾燥してはいるが徐々に反応が進み変色したと思われる。

お茶や清涼飲料水を白い衣料にこぼしたときは、拭き取るだけでなくその部分だけ水洗いしておくことがよい。


第44回クレーム事例勉強会報告(3)

日時  平成16年6月25日

場所  名古屋市西生涯学習センター

事例  糸汚染


品名  婦人ジャケットスーツ
    (白色ニット)

原産国 日本製


組成  表地:レーヨン 71%
       ナイロン 26%
       ポリウレタン 3%
    裏地:ポリエステル 100%

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事例提供者業種  クリーニング業者

苦情内容
ニットジャケットスーツ上着の所々に異原糸のようなヨコ筋汚れがある。
検討内容
・上着のみヨコ方向に規則的に汚れた糸で編まれている。スカートは正常。

生地の上から汚れが付着したのではなく特定の糸自体が汚れている。

・ニッティングオイル他が糸に浸みてそれが酸化変色したのではないか。

・編み機の潤滑オイルが特定のコーンの糸に浸たまま編まれたと想定される。

・還元剤薬品で色抜きすると汚染糸の色が落ち白くなりすぎる。

検討結果

ニッティング工程で編み機の針又は糸送り機構で潤滑オイルが編み糸に付着し固着し製品後の経時変化で酸化され変色したものと考えられる。

・メーカーの工程上(機械保全、精錬不足)の管理不十分が原因と考えられる。


第44回クレーム事例勉強会報告(4)

日時  平成16年6月25日

場所  名古屋市西生涯学習センター

事例  コート表面ハクリ糸汚染


品名  婦人合否コート

原産国 中国製


組成  表地:綿 100%
    別布 ポリエステル 100%
    裏地:ポリエステル 100%
表地にポリウレタンコーティング加工

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事例提供者業種  クリーニング業者

苦情内容
石油系ドライクリーニングにより表地のポリウレタンコーティングがハクリした。
検討内容
・前立ての首部位ボタン掛け位置など、よく曲げたり擦れたりする部分のハクリがかなり見られる。(袖口、裾、衿など) 。

1996年製品でありかなり着用された形跡がある。

・苦情消費者は知人からのもらい物で殆ど着用していないとの言い分。

・製造後9年経過しておりポリウレタンコーティングの補償できる耐用年数は超えていると考えられる。

・商品の耐久性、寿命について苦情消費者への説明了解が得られない。

・苦情者はTES資格取得者であるとのこと。弁償金額の請求があった。

検討結果

ポリウレタンコーティングの耐久性は通常着用で5、6年程度と考えたいが、メーカーとして耐久表示説明はしにくい。

・金品補償を目的とするクレーマー対策はむずかしいが十分な製品知識をもって対応する必要がある。