第41回クレーム事例勉強会

TES会 中部支部
児玉 肇


第41回クレーム事例勉強会報告(1)

日時  平成15年12月12日

場所  名古屋市西生涯学習センター

事例  収縮


品名  女性用パンツ(白)

原産国 不明


組成  表地:綿 60%、レーヨン35%
       ポリウレタン5%

表示  ドライクリーニングは石油系で洗い、
    自然乾燥してください

取り扱い絵表示
事例提供者業種  消費者

苦情内容
今年の夏に購入した白のパンツをクリーニングに出したところ、表地が縮み裏地が裾から2cm程はみ出て戻ってきた。クリーニング店に苦情を申し立て、手直しをしてもらったが、まだ裏地が出ている。クリーニング店がメーカーに連絡しメーカーが縮む素材と言っているとの書面を渡され、パンツをそのまま返却されたので納得がいかない。パンツはスーパーの開店記念の福袋商品で購入。

検討内容

・アイロンでの手直し後の収縮状態....寸法変化率
  ウェスト −3.48%    ヒップ  −5.58%
  股下  (−4.05%)   裾廻り (−6.09%)
・クリーニング方法
石油系ドライ――>スチームボックス――>タンブラー乾燥――>仕上げ
           55℃〜60℃ 30分   短時間         スチームアイロン
           吊り下げ乾燥       臭い取り         ふかす
・タテ、ヨコ共に縮みすぎ。メーカ指定通りの自然乾燥されていない。
・水洗いがやられていないか。
メーカー生地品質検査でのドライクリーニング後の生地寸法変化率J-1法でタテ0.0、ヨコ-0.5で合格範囲。水洗い104法でタテ-2.0、ヨコ-0.5、プレスH3法でタテ0.0、ヨコ-2.0で合格範囲であるが水、スチームで縮みやすい生地である。

検討結果

・メーカー寸法変化率試験は合格範囲にあるが水、スチームで縮みやすい生地である。パンツの収縮状態を見るとタテ、ヨコで縮みすぎているので素材にも問題があると考えられる。縮みやすい生地で自然乾燥指定のものをタンブラー乾燥しスチームアイロンふかし仕上げを行ったことで悪条件が重なり今回のクレームが発生したものと考えられる。

・石油系ドライクリーニング後の自然乾燥は作業環境衛生上好ましくないので、メーカーの製品企画段階でクリーニング店が一律に対応できる取り扱い絵表示が必要である。アパレルとクリーニング業界間の取り扱い基準見直しが必要。


第41回クレーム事例勉強会報告(2)

日時  平成15年12月12日

場所  名古屋市西生涯学習センター

事例  色落ち


品名  スポーツシャツ(グレイ)

原産国 イタリア


組成  表地:綿 100%

表示  手洗いのみ。漂白剤使用不可
    タンブラー乾燥禁止

取り扱い絵表示
事例提供者業種  クリーニング業者

苦情内容
クリーニングは2度行った。1度目は石油系ドライクリーニングと思う。2度目は水洗いし脱色してしまった。
検討内容
・襟から肩にかけて周りと比較して色がうすくなっている。ポケットの内側の色が元色と思われる。
・襟部分が特に脱色されているので襟部分の生地がロット違いではないか。
ブラックライトで蛍光発色が認められるので蛍光増白剤入り家庭用洗剤が使用された。

検討結果

・最近の家庭用洗剤には部屋干し用洗剤にあるように、漂白剤、蛍光増白剤、酵素を混入し殺菌効果や汚れ除去効果を強化したものがある。漂白剤や蛍光増白剤は染料の変退色をおこす原因となる。このクレームの場合、漂白剤使用禁止表示にもかかわらずこの種の家庭用洗剤を使用したため脱色したものと考えられる。

・襟から肩にかけて色落ちが多いのは乾燥時に日光によく当たり脱色が促進されたためと考えられる。