第40回クレーム事例勉強会
TES会 中部支部
児玉 肇
第40回クレーム事例勉強会報告(1)
日時 平成15年10月17日
場所 名古屋市西生涯学習センター
事例 変色
品名 ジャケット
原産国 中国製
組成 綿 100%
取り扱い絵表示事例提供者業種 クリーニング業者
苦情内容
保管していたものを着用して変退色に気がついた。クリーニングで変色したのではないかと苦情があった。
検討内容
・2002年秋に石油系ドライクリーニング後、襟部分を中性洗剤で水洗いした。・納品時は青色であったことはお客様も確認済み。保管中に変退色したと思われる。・ジャケット全体で布の一重の部分が青−−>赤色に変色している。・家庭洗濯した後、石油ストーブで乾燥して窒素酸化物(ガス)で変退色を起こしたのではないか。・塩素系の洗剤で洗ったのではないか。検討結果
・窒素酸化物堅牢度試験結果は問題なかった。
・塩素系漂白剤による変色も認められない。
・耐光堅牢度試験(75h)結果で若干青味に変色するが、今回の変色(赤味)とは傾向が違う。
・防虫剤(パラジクロルンベンゼン系など)による変退色試験でも問題なし。
・保管中に何らかの変退色が起きたが原因は不明である。
第40回クレーム事例勉強会報告(2)
日時 平成15年10月17日
場所 名古屋市西生涯学習センター
事例 エリぶくつき
品名 ブラウス
原産国 中国製
組成 表地:綿 48%、ナイロン 48%
ポリウレタン 5%
表示 クリーニングネット使用
生成り、淡色は蛍光漂白剤入り洗剤禁止
取り扱い絵表示事例提供者業種 クリーニング業者
苦情内容
・ドライクリーニング後、エリのぶくつきが発生。検討内容
・クリーニング後、エリに霧を吹いてアイロンがけした時点で伸びたのか。・タンブラー乾燥でエリのバイアス方向が伸びたのか。・前立ての伸縮はない。・メーカー企画寸法: 企画寸法 変形後寸法
エリ外寸 43.38cm−−>45.5cm(伸び4.9%)
エリ内寸 36.7cm −−>37.2cm(伸び1.4%)
エリ巾 7.05cm−−>7.35cm(伸び4.3%)・エリ部分を分解したところエリ内部芯地がエリから離れているのでクリーニング仕上げアイロン高熱でポリウレタンが伸びたままで固定されたのではないか。・メーカー回答では「寸法変化率試験(D法、H−2法)で基準値(2.0〜-3.0)合格しており製品上の問題なし」。・バスト寸法が企画95pa104(+9.5%)、背肩巾企画39a44(+12.8%)でヨコ方向が大きな伸びがみられる。検討結果
・変形後のエリ形状を企画寸法と比較すると、エリがバイアス方向に伸びている。又、その他の部分でのヨコ方向の大きな伸びがみられる。
・メーカーではドライクリーニング後の寸法変化率試験は必須試験ではなくD,H2法結果で判断している。このクレームケースの場合、ドライクリーニング取り扱いで素材の大きなヨコ方向伸びが発生しており取り扱い絵表示に従いドライクリーニング後の寸法変化率も事前試験しておくべきである。
・クリーニング時の物理作用でエリ部分がバイアス方向に引っ張られ、しかも芯地接着が剥離しているためにポリウレタンが伸びたままになった。よって生地表面で寸法差が発生しエリ部分に凹凸のぶくつきが生じたと考えられる。
・熱などで伸縮する素材をエリに用いる場合は素材に適合する芯地企画を慎重にすべきである。
第40回クレーム事例勉強会報告(3)
日時 平成15年10月17日
場所 名古屋市西生涯学習センター
事例 変色
品名 ジーンズ
原産国 不明
色相 黄色
組成 表地:綿 95%、ポリウレタン 5%
表示 タンブラー乾燥禁止
取り扱い絵表示事例提供者業種 クリーニング業者
苦情内容
・洗濯(クリーニング又は家庭洗濯)後、膝の前後に黄色の変色発生。・2,3年前に購入し土日に着用する程度。・クリーニングには2,3回出した。個人で1度水洗いした。検討内容
・ジーンズの前身膝部分と後ろ膝部分に黄色く筋状に変色が見られる。・消費者からクリーニングが悪く変色したと苦情があった。・変色部にブラックライト(紫外線光)を当てると白く光り蛍光物質がのっていることが判明。検討結果
・変色部分に蛍光物質が残っていることから、消費者が家庭洗濯した時に洗濯機の中にジーンズを入れその上から粉末洗剤をかけ、洗剤が溶けにくく残って洗濯が進められたと考えられる。蛍光物質により変色が起きたと考えられる。
・家庭洗濯時に、このケースがよくあるので粉末洗剤が溶けるのを確認するか、洗剤をよく溶かしてから洗濯機に入れることが望ましい。