第37回クレーム事例勉強会

TES会 中部支部
児玉 肇


第37回クレーム事例勉強会報告(1)

日時  平成15年4月18日

場所  名古屋市西生涯学習センター

事例  収縮           

品名   白トレーナー

組成   身頃・袖      綿84%、ポリエステル16%

       首周り・ウエスト  羊毛100%(ゴム編み)

取り扱い絵表示

事例提供者業種  クリーニング業者

苦情内容

     クリーニング店で家庭洗濯機によるソフト洗いを行ったことによって、トレーナーが収縮した。

○ノブレス研究所の所見

  1)新品のサンプルと比較して縮んでいる

  2)新品より白くなっており、蛍光反応が認められる。(新品には蛍光反応はない。)

  3)家庭洗濯機のソフト洗いと報告されていますが、回転と揉み作用が加わったことは取扱い絵表示の手洗い(押し洗い)の条件とは異なる。
  
  4)熱風乾燥機によるフリース素材の収縮も発生している。

  5)ハンドアイロンのスチーミングは縮みを作ることも、縮んだものを伸ばす事も出来る。

  6)首周り、ウエスト部分の羊毛100%(ゴム編み部分)のファスナー縫い付け箇所は、固定されているために縮まないが、その他の部分は収縮して型崩れを生じている。(写真参照)

  上記の結果から責任はクリーニング店にある。

○中部支部での検討

  1)取扱い絵表示の手洗い(押し洗い)ではなく、家庭洗濯機のソフト洗いを行っていたために、クリーニング店の責任と判断されることは、止むを得ない。

  2)フリース素材は緩和収縮したとしても、着用することで伸ばされるので、何等問題とはならないが、一般的ではないかと思われます。

  3)今回のトレーナーは首周り、ウエスト部分に羊毛100%ゴム編みが使用されており、しかも、ファスナーの縫いつけられたゴム編み部分は縮まずに、その部分が緩和収縮するために、変形が発生したものであります。

  4)ゴム編み部分の変形は、自由度が大きいために、着用中にかなり改善されるものであり、許容されるべき性質のものではないかとの意見もありました。
 
 
  5)手洗い(押し洗い)に関しての取扱い上の注意書が添付されていますが、この諸条件が対応可能なクリーニング店は、非常に少ないのではないかと危惧します。
        


第37回クレーム事例勉強会報告(2)

日時  平成15年4月18日

場所  名古屋市西生涯学習センター

事例  羽毛脱落

品名  女性用ワンピース(冬物)

組成  綿 52%、 ポリエステル 45%

    ポリウレタン 3%

取り扱い絵表示

注意書き : スチームで浮かしアイロン。
       プリント部分もみ洗い禁止。
       裏返し洗い。

事例提供者業種  クリーニング業者

苦情内容

  ・2002年冬に購入しその後3回位、クリーニングに出した。フロック加工の羽毛脱落の苦情。

検討内容

 
 1)摩擦の影響を強く受ける凸部分にフロック加工の羽毛の脱落が目立つ。

  2)ヒップ、大腿部分は着用中の摩擦の影響が強いと思われるがフロック加工の脱落は少ない。

  3)肩から胸にかけて脱落が目立ち、前身、背中部分の脱落形状から毛皮のショールのような有毛品の影響があるのではないかとの大胆な推測もあった。

  4)しかしながら決定的な見解は得られなかった。


第37回クレーム事例勉強会報告(3)

日時  平成15年4月18日

場所  名古屋市西生涯学習センター

事例  しわ           

品名  女性用パンツ

組成  COTTON(綿) 99%

    ELASTAM(ポリウレタン) 1%

原産国 イタリア製

取り扱い絵表示

事例提供者業種  クリーニング業者

苦情内容

  2002年8月に購入し2003年3月クリーニングに出した。パンツのたて方向に強いシワが多数見られる。アイロンや水では回復しない。

検討内容と結果

  1)ドライクリーニングではたてシワ発生しない。

  2)水洗いすると強いシワが出てくる。

  3)たて方向のみのシワはクリーニングのシワとは考えがたい。

  4)表地の整理加工の段階で発生したシワが、クリーニングによって浮き上がってきたものと思われる。一般的に、このケースのシワを回復させるのは難しい。