第36回クレーム事例勉強会

TES会 中部支部
児玉 肇


第36回クレーム事例勉強会報告(1)

日時  平成15年2月21日

場所  名古屋市西生涯学習センター

事例  収縮           

品名   紳士ブルゾン

原産国 中国

組成   エステル100%

裏地   エステル

付属   ジャージー:アクリル100%

その他 中綿、エステル

       合成皮革使用

取り扱い絵表示

付記  ジャージー・レザー部分アイロン禁止。タンブラー乾燥禁止。

事例提供者業種  スーパー・小売

苦情内容

     表示通りのクリーニング方法と自然乾燥(ハンガーアップ)処理したところ、合成皮革部分のパイピング部分のみが縮んだ。

検討内容

     ・石油系ドライクリーニングの後の乾燥する前に熱がかかっているのではないか。

     ・合皮接合部に熱に弱いPP(ポリプロピレン糸)が入っているのではないか。

     ・402ドライクリーニング付記し乾燥前に衣料を取り出すように表示すべき。

検討結果

     ・ドライクリーニング後に、そのまま槽内でタンブラー乾燥され、熱で合皮接合部分が収縮したと考えられる。

        


第36回クレーム事例勉強会報告(2)

日時  平成15年2月21日

場所  名古屋市西生涯学習センター

事例  しみ汚れ

品名  ダウンショートコート

原産国 中国製

組成  表地 ポリエステル100%

    裏地 ポリエステル

    その他 ダウン80%、 フェザー20%、 

        毛皮部分ラビット

取り扱い絵表示

付記  ○毛皮は取り外してクリーニングして下さい。

    ○ドライクリーニングの場合、クリーニング店の皆様へお願い。

        ・裏返しの状態でクリーニングをして下さい。

        ・洗浄液を適正に管理して下さい。

        ・洗浄液を常に正常に保って下さい。

        ・脱液時間を長くして残液率を下げて下さい。

        ・ 乾燥初期は常温乾燥し、残留溶剤の集中を防いで下さい。

事例提供者業種  アパレル

苦情内容

  ・ドライクリーニング(石油系)した後、縫い目(ステッチ)に沿ってしみ汚れが残る。

検討内容

  ・ダウンコートをドライクリーニングすると縫い目に沿ってシミが残ることがよくある。羽毛の洗浄は水洗いの方が効果的である。

  ・羽毛の種類で洗浄後の乾き具合が変化する。商品販売前にドライ/石油系/水洗/手洗い/で予めしみの発生テストするとよい。

検討結果

  ・短時間に乾燥させるとしみが残るのでドライクリーニング後にゆっくり時間をかけて乾燥するとしみは出にくい。羽毛の種類によりしみの出方状況が異なる。

  ・ドライクリーニングして乾燥後にしみが出た場合、もう一度同じ工程で洗い直すとしみはとれやすい。         


第36回クレーム事例勉強会報告(3)

日時  平成15年2月21日

場所  名古屋市西生涯学習センター

事例  破れ           

品名  婦人コート

原産国 中国製

組成  表地 毛65%、ポリエステル35%

    裏地 ポリエステル100%

取り扱い絵表示

付記  ○インディゴ染め

    ○色落ち、色着き注意

事例提供者業種  クリーニング業者

苦情内容

   クリーニングに出したら裏地が縫い代から裂けた。

検討内容

  ・クリーニング店では石油系ドライクリーニング→タンブラー乾燥した。

  ・縫製後の裏地の縫い代が若干少ない。裏地の縫い代の合わせ幅が片方少ない。

  ・表地と裏地の収縮差があり洗濯時に縫い目が裂けた。

  ・クリーニング後の乾燥時のハンガーアップ時点で破れが見つかった。

検討結果

  ・裏地の生地の滑脱強力不足に問題がある。特にヨコ方向が弱い。

  ・ドライクリーニング時にネットを使用すべきであった。 


        


第36回クレーム事例勉強会報告(4)

日時  平成15年2月21日

場所  名古屋市西生涯学習センター

事例  変色

品名  婦人物ズボン


原産国 日本製

組成  表地 綿57%、 ポリエステル40%

    ウレタン3%


色   茶色

取り扱い絵表示  なし(消費者が切り取り)

事例提供者業種  クリーニング業者

苦情内容

   1度目の変色はズボンの前ファスナー横に出た。2度目の変色はクリーニングに出して変色した。

検討内容

   ・ドライクリーニング後のタンブラー乾燥後に変色に気がついた。

   ・ズボンの変色部分に何か薬品がついて色落ち(変色)した模様。

   ・漂白剤か、粘性のある液体が局部的についた。水洗いしたがすでに変色していたと思われる。

検討結果

   家庭で使用する薬剤をズボンに付着させ変色程度を再現試験した。塩素系の家庭薬剤(カビ取り剤、又は漂白剤)が付着して染料が変色したと同じ現象が認められた。家庭でこの薬品を使用していたときに少量が飛び散ってズボンに着いたか、手についてそれがズボンについて変色したものと考えられる。

      


第36回クレーム事例勉強会報告(5)

日時  平成15年2月21日

場所  名古屋市西生涯学習センター

事例  移染


品名  柄物シャツ

原産国 イタリア

組成  綿100%

色柄  紺/白の格子柄

取り扱い絵表示

事例提供者業種  クリーニング業者

苦情内容

   消費者が家庭洗濯し乾燥したらポケット部分、前立てなどの重ね縫いされた部分の白い部分が、うすく紺色染料で移染されていた。クリーニングに出したが移染染料が落ちなかった。

検討内容

   ・クリーニング業者で水洗いしたが移染部分の色は落ちなかった。

   ・シャツのポケット、前立て部分の布の重なっている部分のみが色泣きして移染している。

   ・イタリア製ブランド物であり染色堅牢度よりもデザイン、色を重視しているため染料品質に問題がある。

検討結果

   洗濯後、湿ったままで長時間放置したため布の重なり合った部分の紺色染料が白い部分に移染したものと考えられる。この染料は洗濯堅牢度が弱いので洗濯をする場合、高温、高濃度洗剤投入など厳しい条件は避ける必要がある。