第34回クレーム事例勉強会

TES会 中部支部
児玉 肇


第34回クレーム事例勉強会報告(1)

日時  平成14年8月23日

場所  名古屋市西生涯学習センター

事例  収縮


品名  ワイシャツ

原産国 日本


組成  エステル/コットン

色柄・加工  ライトグレイ

       SSP加工(形態安定)

取り扱い絵表示

    ネット使用
付記  ○ノリつけをしないで矢印の方向に引っ張って形を整えてください。

    ○高温高湿プレスは避けソフトに仕上げて下さい。

事例提供者業種  スーパー・小売

苦情内容

     ・営業クリーニングをしたところ、衿、前立て、袖カフスに大きな収縮が生じた。

     ・衿の裏側(内側)に目立つたるみが生じた。

苦情品の状態

     ・衿、カラー、前立ての生地と芯地が洗濯・プレス後に収縮差がでている。

     ・プレス後の前立て左右の丈差が3pほどある。

     ・ワイシャツ着用歴が長く、汚れ作業用に着用されている。

検討内容

・ワイシャツが古くなってきているので作業用に着用している。

・汚れがひどいので洗剤濃度を高くし高温で洗濯されるので収縮差が大きくなる。

・半乾きで衿、前立て、両袖を高温でプレスするので生地と芯地との収縮差がでる。

・プレス後の収縮差の小さい芯地を選択する必要がある。

検討結果

      ・ワイシャツが古くなってきているのでクリーニングネットを必ず使用し
     激しい条件での洗濯はしない。

     ・洗濯後の高温プレスは避け、生地と芯地が完全に乾いてから芯地を
     柔らかくして引っ張りながらプレスする。




第34回クレーム事例勉強会報告(2)

日時   平成14年8月23日

場所   名古屋市西生涯学習センター

事例  変色

品名  ブレザー

原産国 日本

組成  表地 綿85%、麻15%

    裏地  ポリエステル

色柄  ブルーグレイ

取り扱い絵表示
   

     

事例提供者業種  クリーニング

苦情内容

     ・ブレザー着用後左肩から脇の下にかけてしみ輪が出来た。

苦情品の状態

     ・ブレザーの左脇の下を中心として半径約10〜30pの楕円形のしみ輪が発生。

     ・汗しみの様に楕円状に広がり薄い茶褐色に変色模様が見られる。

     ・しみ輪は左肩付近の衿、肩胛骨の上、脇の下、左前の胸の楕円状に発生。

検討内容

     ・2001年秋物で2シーズン着用のもの。

     ・着用後の汗と日光の複合作用による汗耐光変色の可能性がある。
     衿首の後ろまでしみ輪が達しておりかなり多量の汗をかいたケースである。

・ファブリーズ(衣料用消臭剤)の使用による変色の可能性がある。

・脇の下の汗が楕円状ににじんで拡大し湿ってスレによる変色の可能性がある。

・着用後に何かこぼして楕円状にしみ輪が残った可能性がある。(コーヒー、茶など)

・しみ輪部分の楕円内にもうっすらと変色部分がある。

検討結果

・しみ輪の中心が脇の付近でもあり汗しみの発生する個所である。

汗で湿った状態で日光が長時間露光したための汗耐光変色とも考えられる。

 麻の部分の染料が変色している。

・何かこぼしたしみ汚れによる変色とも考えられるが、原因特定はむずかしい。



第34回クレーム事例勉強会報告(3)

日時   平成14年8月23日

場所   名古屋市西生涯学習センター

事例  縮み

品名  ダウンジャケット

原産国 イタリヤ

組成  綿52%

    ナイロン48%

色柄  白(表)

取り扱い絵表示(現物はISO表示)

   

付記  イタリヤ語

事例提供者業種  クリーニング

苦情内容

     ・ダウンジャケットの袖口が縮んで短くなった。

     ・前の裾丈が縮んで前・後の裾の長さが違ってしまった。

苦情品の状態

     ・ダウンジャケットの前裾の内側(裏)が縮んで接着し丈が短くなっている。

     ・右手袖口部分が10p程度縮んでシワになり、内側(裏)で接着しており
     引っ張っても戻らない状態。


検討内容

     ・縮んだ部分は、内側(裏)のコーティング樹脂が溶けて、生地が縮んだ状態で
     再接着したため戻らなくなった。


     ・ドライクリーニングで発生している。

     ・ダウンジャケット生地とコーティング樹脂が再接着している。

検討結果

     ・コーティング樹脂の耐用年数がオーバーしているとドライクリーニング中に
     コーティング加工部がはがれやすくなり再接着する可能性がある。


     ・コーティング加工はポリウレタン樹脂などを織編物の裏面に皮膜を形成させるもので
     強い摩擦作用で皮膜損傷し剥がれることがある。
     素材により洗濯仕上方法を注意する。
     ドライ表示は避けドライ/セキユ系とする。乾燥機は使用しない。
     手洗い表示にすべきものもあるがもみ洗いは行わない。


     ・右袖口部、前立て裾部分のコーティング樹脂の劣化による剥離原因が大きい。