第28回クレーム事例勉強会

TES会 中部支部
岩木 由和

報告(1)

第28回クレーム事例勉強会報告(1)

日時  平成13年6月22日

場所  名古屋市西生涯学習センター

事例  ジャケットの変退色

品名  ジャケット

原産国 中国

組成 表地:ポリエステル85%、麻15%

   裏地:ポリエステル100%

   付属:

色柄・加工等

   ポリエステル(グレー)、麻(黒)

取り扱い絵表示


事例提供者業種 クリーニング

苦情内容

 ・クリーニング後は問題なかったが、保管1年後に出したら変退色していた。

 ・裏地のポリエステルにも汚れが見うけられた。

 ・水洗いを行ってみたら液がかなり汚れた。

 ・発売元に連絡したらあっさり了解した、他からもクレームが来ているらしい。原因が解らないので、わかったら教えて欲しいと言っている。

苦情品の状態

 ○襟元及び肩から腕にかけて部分的に麻の黒が変色し、茶褐色になっている。

検討内容

 ○縫い目で変色の仕方が異なっているのはなぜか。

 ○    ノースリーブのシャツを着用していたとすれば変色部分は直接肌に触れる部分であり汗耐光による変色の可能性が高い。

 ○   汗耐光による変色と類似しているが、保管1年後に問題が発生していることから汗耐光とは言いがたい。

分析・再現試験結果

 ○   マイクロスコープでの観察で麻の黒が変色していることが確認された。

 ○   ブラックライトを照射すると前身ごろ、衿表のパーツには蛍光がかかっていることが判明した。

 ○  通常の汗耐光試験では変色は認められなかったが、10倍法での汗耐光試験では現物ほどではないが類似の茶褐色の変色が認められた。

検討結果

 何回か着用し長時間汗をかいた場合汗成分が蓄積され濃度が高くなることがある。このような場合、染料によっては汗と日光の複合作用により不安定となり変色したり、湿度の高い場所に長期間保管すると水分の影響で加水分解を起すことがある。これらのことが重なって起きたものと推定される。
 なお、パーツによっては蛍光がかかっているようにみえたが、身生地ではなく芯地に蛍光がかかっていることが判明したが、蛍光と変色部位との相関はなく、今回の事故の原因ではなかった。しかし、ブラックライトのような照明を使用している所もあるので、このような芯地を使うときには注意が必要である。