第27回クレーム事例勉強会

TES会 中部支部
岩木 由和

報告(1)

日 時:平成13年4月20日

場 所:名古屋市西生涯学習センター

事例:ウレタンコーティングの剥離

品 名:ブルゾン

原産国:日本

組成 表地:ナイロン100%
   裏地:
   付属:

色柄・加工等:ウレタンコーティング 



取り扱い絵表示:

事例提供者業種:クリーニング

苦情内容

 2年前に購入したもので、これまでは何ともなかった。今回クリーニング店でフッ素系で洗ったところコーティングが剥離した。絵表示は402でありフッ素系で洗ったクリーニング店が悪いと言われた。

苦情品の状態

 写真で解るように裏のコーティング膜は溶融して剥離又は破れている、表側のナイロンはコーティング膜の縮みにより皺だらけとなっている。

検討内容

 ○ 石油系に比べてフッ素系の方が溶解力が強い。

 ○ 2年前の購入なのでウレタンの脆化が問題である、また実際の生産はもっと前かもしれない。

 ○ これまでのフッ素系溶剤CFC−113なら1〜2回のクリーニングに耐えたが代替溶剤HCFC−225はより溶解力が強いので避けるべきであった。

検討結果

 ウレタンの脆化が始まっていたにしてもフッ素系で洗った事はクリーニング店のミスと言わざるを得ない。


参考資料


報告(2)

日 時:平成13年4月20日

場 所:名古屋市西生涯学習センター

事例:汚れ

品 名:セーター

原産国:中国

組成:表地:アクリル 70%、ウール 30%
   裏地: 
   付属:刺繍有り

色柄・加工等:

取り扱い絵表示

事例提供者業種: クリーニング 

苦情内容

 着用中ハンドソープが付いたが洗っても取れないので「なんとかならないか」と、消費者からクリーニング店に持ち込まれた。クリーニング店では各洗浄方法やシミ汚れ落しを試みたが効果は無かった。

苦情品の状態

 ○ 汚れと思われる部分がグレーに変色している。

 ○ 変色は裏にも見うけられ表側から沁みこんだようである。

検討内容

 ○ 汚れは体の前部に付いているが袖の汚れは後ろに付いている。ハンドソープがかかったにしてはおかしい。

 ○ 消費者が気が付かないうちに何らかの薬剤が付いていたが、たまたまハンドソープが飛び散ったのではじめて汚れに気がついたのではないか。

 ○ 汚れではなく脱色しているのではないか、アクリル用の染料には還元に弱いものが多い。

 ○ 我々の身の回りには整髪料や漂白剤など濃厚溶液が付着すれば染料に影響を及ぼすものが多々ある。

 ○ ハンドソープの成分に還元剤が含まれているものもあり、脱色の可能性がある。

分析・再現試験結果
   マイクロスコープによる観察ではウールが消色していることが判明した。

検討結果

 苦情品は依頼者に返還する必要があり、分析が出来ないため原因の究明には至らなかったが還元性のある溶液が付着したと推定された。