第25回クレーム事例勉強会
TES会 中部支部
岩木 由和
報告(1) |
日 時:平成12年12月15日 場 所:通産省・製品評価技術センター中部支所 参加者:12名 事例:汗と日光の複合作用による変色 品 名:ジャケット 原産国:中国 組成・色柄等:表地 指定外繊維100%(テンセル) 裏地 ポリエステル100% 取扱い絵表示: |
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事例提供者業種:販売
苦情内容
普通の着用(仕事着)で変色してきたので、クリーニングに出したところ著しい赤色の変色が生じた。自動車通勤でありそれほど日光の下は歩いていない。
苦情品の状態
紺のジャケットであるが、衿、肩、袖、ポケット部の生地の表側に赤く変色が見うけられる。
検討内容
1.堅牢度は耐光4以上、汗酸アルカリとも5、ドライ5であり問題無さそうである。
2.光があたりやすい部分に変色が多い、運転席側の腕の部分が多く変色している。
3.耐光だけだとポケット部は少ないはず、汗をかいた手が触れる場所と考えれば汗耐光の可能性が高い。
4.反応染料によっては汗と日光の複合作用で染料中の重金属が離脱し分解されるため変色する場合がある。
試験(再現)結果
1.ATTSの汗耐光試験で類似の変色が確認された。
2.変色部分からは汗の成分であるアミノ酸や塩素イオンが検出された。
検討結果
上記検討内容、試験結果から汗と日光の複合作用によって変色が生じたものと推定された。なお、クリーニングで著しく変色したのは分解した染料がクリーニングによって脱落したためと考えられる。
報告(2) |
日 時:平成12年12月15日 場 所:通産省・製品評価技術センター中部支所 参加者:12名 事例:汚れ 品 名:コート 原産国:イタリア 組成:表地:ポリエステル 65%、ポリウレタン 23% ナイロン 12% 裏地:キュプラ 100% 取扱い絵表示: |
(1) |
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付記 1.ボタンは取り外してクリーニングしてください。 2.石油系溶剤で短時間で処理してください。 3.素材表面を傷つけないために強いブラシ洗いは避けて自然乾燥してください。 相談者業種:クリーニング 相談内容 衿、袖に汚れが付いたのでクリーニングに持ちこまれたが、汚れが取れない。 苦情品の状態 衿と袖に茶褐色の写真(1)のような汚れが付いている。 検討内容 1.ポリウレタン23%の表示になっているが伸縮性は無くコーティングではないか。オイルコーティングの製品で汚れが樹脂に吸着され落ちない事故は過去にも事例がある。 2.汚れは通常水溶性、油性、不溶性の汚れに大別されるが、この場合見たところ不溶性とは思われず、ドライ、水系洗濯でも落ちないのは不思議だ。 3.衿部は整髪剤などの影響が考えられるが、この場合袖の端にも有り、整髪剤とは考えにくい。 4.顕微鏡写真(2上)正常部と(2中)汚れ部では明らかに違っており(2中)は繊維表面を汚れ物質が覆っている。 試験結果 汚れが繊維又は樹脂に強く付着したり内部にまで沁み込んでいる場合落ちないことが多いため、スプレーガンで物理的に吹き飛ばす試験を試みた。結果は水では落ちづらかったが溶剤(1・1・1トリクロルエタン)で落とすことが出来た顕微鏡写真(2下)。 検討結果 生地が高密度であることポリウレタン系の繊維又は樹脂が使用されていることから、汚れが強く付着しかも内部にまで沁みこんでいることが落ちにくくさせている原因と推定された。 |
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