第21回クレーム事例勉強会
TES会 中部支部
岩木 由和
報告(1) |
日 時 4月21日 場 所 通産省・製品評価技術センター中部支所 参加者 14名 事 例 クリーニングでの色汚染 品 名 婦人ニットシャツ 原産国 日本 組 成 綿100% 色 柄 プリント(地は蛍光晒し)、袖部は紺無地 後染め、襟部は表紺裏白先染め 取扱い絵表示 |
![]() |
![]() |
相談者 クリーニング業者
相談内容 取り扱い表示に基づき水系クリーニング(家庭用洗剤と同程度のアルカリを使用)を行ったところ、プリント部の白場がピンクに染まった。洗濯液に色は付いていなかった。原因を知りたい。
検討内容
1 プリント部の白場はピンクに染まっているが、襟部の白場は染まっていないことから、プリント部に何らかのカチオン系の加工がなされており、液中に出た染料と結合したと推定される。カチオン系の薬剤としてはプリント部の堅牢度向上のためのFix剤、風合い加工用の柔軟剤が考えられる。
2 上記の推定を確かめるために以下のテストを行った。
袖部の紺無地は通常の堅牢度試験では合格範囲であった。
洗濯 L0844 А―2法 (5級)、汗 L0848 A法(アルカリ 5級、酸 4級)、
アルカリ浴に浸漬すると液中に赤い色がわずかに出ることが確認されたため、綿100%晒し・シル
ケット済みの生地をブランクとし、同一生地で柔軟加工およびFix処理を施した生地を作り、紺無
地とともにアルカリ浴に浸漬した。Fix処理の生地のみがピンク色に汚染した。
![]() |
ブランク 柔軟加工 Fix処理 |
3 汚染の原因は推定通りの結果となったが、プリント生地も紺無地生地も通常の堅牢度は合格範囲でありこのような組み合わせに問題があると思われる。アパレルと染色整理業者との間に情報が欠落していたのではないか、それが最も大きな原因とも考えられる。